ペットの長寿・高齢化時代を迎えて
医療の発達や飼育環境の改善により、ペットの高齢化が進んでいます。
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、犬の平均寿命は14.90歳、猫は15.92歳とされています。
ここ30年で平均寿命は約2倍に延びており、現在では20歳近くまで生きるペットも珍しくありません(※1)。
一方で、加齢に伴い免疫力や体力が低下し、持病や慢性疾患のリスクが高まる傾向があります。
また、医療の高度化によって治療の選択肢は広がっていますが、飼い主の医療費負担が増加する傾向にあります。
そのような背景から、万が一に備えて高齢ペットでも加入できる保険のニーズが高まっています。
本記事では、シニア期の犬猫に適したペット保険を選ぶ際のポイントについてご紹介します。
※1 参考:一般社団法人ペットフード協会「2024年 全国犬猫飼育実態調査」
https://petfood.or.jp/pdf/data/2024/3.pdf
高齢でも入れるペット保険を比較する
高齢ペットがかかりやすい病気やケガの治療費用
高齢となったペットがかかりやすい病気やケガ、それに対する治療費用はどのくらい必要なのでしょうか。
ペットの種類や、体の大きさによって治療費は異なり、ご紹介している数字は平均的な治療費の目安です。
実際に治療を受ける際には、動物病院にあらかじめ症状、費用を確認の上、適切な治療方法を決めてください。
病気やケガの種類 |
症状 |
費用 |
ガン |
しこり、イボ
食欲・体重低下
咳・呼吸困難
鼻血・鼻詰まり
嘔吐・下痢
痙攣発作
ふらつき・麻痺
※犬や猫の死因の中でも大きな割合を占める
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・手術 15万円以上
・抗がん剤治療
2~3万円(1回)
・放射線治療 1万~5万円
・入院費用
2000~5000円程(1日)
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糖尿病 |
多飲多尿
痩せてくる
※不足しているインスリンを補うための治療も必要
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・インスリン注射 7000円~1万円(1ヶ月)
・食糧法食
8000円程度(1ヶ月)
※インスリンは、症状によって投与する量が異なりますので、あくまで目安
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骨折 |
足を引きずる、痛がる
歩行障害
腫れ
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・手術 10~20万円(入院費含む)
・ギブスで固定した場合
3~5万円
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椎間板ヘルニア |
痛み、麻痺(脊髄圧迫)
歩行困難
運動失調
排尿・排便が困難
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・通院治療の場合 5000~1万円(1日)
・入院治療の場合
3~5万円
・手術の場合
30~50万円
※ヘルニア治療に関しては、レーザー治療の場合は進行の度合いにもよりますが通院治療、入院治療を選ぶことも可能
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白内障 |
眼球が白く濁る
視力の低下
歩行困難
物や壁にぶつかる
※糖尿病が原因の場合もある
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・通院の場合 1~2万円(1日)
・手術の場合
30~50万円
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高齢ペットの病気やケガに潜むリスク
高齢になると、ペットもさまざまな理由からケガや病気などのトラブルに見舞われやすくなります。
白内障が原因で歩行が不自由になり、ケガにつながることや、病気が原因で免疫が低下し、他の病気を併発するケースや、寝たきりになってしまうことも珍しくありません。
ひとつの病気やケガがきっかけとなり、ペットの生活すべてを脅かすようになるのは、恐ろしいことです。
若いうちの病気やケガは、ペット自体の免疫力や体力が十分にあるため、比較的早期の回復を期待することができます。
ですが、高齢なペットであればあるほど、ひとつの病気やケガがきっかけとなり、寝たきりになるなどのリスクは高まり、高度な治療をすればするほど、医療費は跳ね上がります。
ペットの受診は全額自己負担
ここでひとつ、注意しておかなくてはいけないことがあります。
いかなる治療を選んだ場合でも、動物病院への通院は全額自己負担になる、ということです。
人間とは違い、医療保険がないため、ペットの治療に掛かる費用はすべて飼い主負担となります。
愛するペットのため、とは言え、治療費は先ほどの表からも分かるようにかなり大きな額です。
動物病院によって治療費も異なりますので、動物病院の選び方もポイントといえるでしょう。
ペット保険加入の必要性
ペットに対する医療は近年非常に発達しており、ガンなどの大病を患っても生活の質「QOL(Quality of Life)」を保つことが可能となってきました。
どのような治療を行うことが、愛するペットにとって最善の方法か、動物病院の医師とも十分相談し、家族でよく検討した上で、治療方針を決めることが大切です。
そんな時に、全額自己負担ではなく、何割か補償してくれるペット保険の存在は大きな助けとなります。
ただ、ペット保険は選び方が難しく、加入には人間と同様にいくつかの条件が設定されています。
高齢になってから新規加入を検討しても、加入できる保険の種類がごく限られることも珍しくありません。
7歳以上になると、加入できる保険の種類が減り、保険料が高くなり、既往歴によっては加入すること自体が難しいこともあります。
リスクに備えて、若く健康なうちに保険加入を検討することで、保険料を抑えることができるなどのメリットがあります。
高齢でも入れるペット保険を比較する
高齢ペットの健康管理
ペットも高齢になると、日常生活から体への負担が生じます。
若いうちはなんともなかった段差などが、足腰への負担になっている場合も少なくありません。
普段からそういった負担を取り除いてあげることが大切になります。
犬の場合には毎日の散歩も、年齢に合わせ距離やコースを調整すると良いでしょう。
また、定期的な健康診断を受けることもオススメします。
高齢ペットの場合には、若いころと比べ必要な栄養バランスが異なる為フードの切り替えも重要になります。
高齢ペットには低カロリーのシニア用フードを選ぶようにしましょう。
切り替え時期は一般的に7歳頃からといわれています。
ペット保険加入の条件
保険加入には、具体的にどのような条件が必要となるのでしょうか。
まずは、保険会社で実際に規定されている条件を比較していきましょう。
規定条件
- 生後45日以上であり、満7歳以下
- 生後120日以上であり、満9歳未満
- 満7歳11ヶ月まで
- 満12歳11ヶ月まで
- 満13歳まで加入可能
※ただし、満9歳以上の場合は健康診断の受診が必須
ペット保険の新規加入と継続の違いとは
先述した年齢のうちに保険に加入した場合は、生涯補償を受けられるのでしょうか。
近年、医療の高度化やペットの高齢化に伴い、加入後に新規加入対象年齢の上限に達しても、保険料の増減はあっても継続して保険に加入し続けることができる商品が増えています。
一度、ペット保険に加入をしておけば、終身補償を得ることができる、ということです。
ペット保険加入には告知義務も
保険に加入するためには、告知義務があります。
ペット保険加入の際には、年齢制限をクリアしているだけでなく、原則として健康であることが大前提となります。
既往歴があっても、申告して一定の条件をクリアできれば、保険料などの条件が多少変わっても加入可能なものもありますので、安心してください。
また、一定の年齢以上の加入条件として、健康診断受診が必須となるケースもあります。
審査結果によっては、加入を断られるケースや、特定の病気に関しての保険金支払いが対象外とされることもありますので、しっかりと確認しましょう。
高齢でも入れるペット保険を比較する
比較すべきポイント
ペット保険に加入する際には、保険料、条件はもちろん、しっかりと補償内容などを比較・検討するようにしましょう。
人間の保険でも選び方に悩むのに、悩んでしまうこともあると思いますが、ここは理解しておくことが大切です。
ペット保険の選び方
保険の選び方としては、加入条件をクリアしている保険をピックアップした後で、保険を比較することが必要です。
自分たちにとってどのようなポイントが重要になるかを考え、比較し、優先順位をつけた上で加入保険を決めるのが、選び方のポイントといるでしょう。
保険料
継続することを考えると、保険料も大切な比較ポイントです。
一方で、ただ単に保険料が安いことだけを重視すると、いざという時思っていたよりも補償してもらえない事態に陥りかねません。
補償内容や特約などをチェックしておきましょう。
犬種や猫種によってかかりやすい病気を把握すること
自分のペットがかかりやすい病気を把握し、その病気に対してどのような診察や治療が必要かを検討し、必要となる補償内容を確認しましょう。
ライフステージによって保険を見直す
ライフステージによって、健康リスクは変わってきます。
高齢化に伴い抱えるリスクを想定し、最適と思えるペット保険を比較検討しましょう。
選び方のポイントは保険料、補償内容※
ペット保険の選び方として、外せないポイントは保険料、補償内容です。
もしも大切なペットが体調を崩したら、不安はペットの体調だけでなく、現実問題、治療費も心配するべきではないでしょうか。
もしもの時の安心のために、ペット保険の加入を考えてみませんか?