猫のゴロゴロ音にはさまざまな意味が込められており、嬉しいときだけでなく病気やストレスで喉を鳴らしていることもあります。
この記事では、猫がゴロゴロ音を出す理由や気持ちを理解するヒントについて解説します。
猫がゴロゴロ音を出す理由とは?愛猫の気持ちがもっとわかる
猫がゴロゴロ音を出す理由とは?愛猫の気持ちがもっとわかる
この記事をまとめると
猫がゴロゴロ音を出すタイミングは以下の4つ。
- リラックスや満足している
- 母猫や飼い主さんに要求したいことがある
- 不安やストレスを感じている
- 病気やケガをしている
要約
猫のゴロゴロ音は、リラックスや満足感、ストレス時の自己安定、要求表現など多岐にわたる理由で出されます。
この音にはリラックス効果や健康促進作用があり、飼い主さんとの絆を深める重要な役割も果たします。
ペットの健康を守るためには、普段からしぐさや声のトーンに注目し、体調を見極めることが大切です。さらに、万が一の病気やケガに備えるため、ペット保険への加入も検討しましょう。
そもそも、猫のゴロゴロ音とは一体何なのでしょうか。
普段の鳴き声とは違うし、いびきとも違い、どうして喉からゴロゴロと音が出るのか不思議ですよね。
猫のゴロゴロ音は長年研究されてきていますが、実はその仕組みは完全には解明されておらず、謎に包まれたことも多いのです。
ゴロゴロ音の意味をより深く理解するためにも、最初に少しだけ猫のゴロゴロ音の謎に迫ってみましょう。
ゴロゴロ音の生理的メカニズム
これまで長い間、猫のゴロゴロ音は喉にある自分の意思で動かせる筋肉=随意筋(ずいいきん)を細かく収縮させることで生み出されていると考えられてきました。
しかし、最新の研究では空気が喉を通るときに、声帯が振動することで生み出されている可能性があるとして、猫のゴロゴロ音を出す仕組みの解明に一歩近づいたのです。
この研究では、猫の声帯に小さな柔らかい組織の塊=パッドがあることも発見され、そのパッドが肺に入る空気に反応してゴロゴロと音を出すということが明らかになりました。(※1)
とは言え、実験は喉頭単独の機能に限定して行われていることや、生きた猫の複雑さが考慮されていないことから科学者たちの間で論争となっており、猫のゴロゴロ音の仕組みの完全解明はまだまだ先のようです。
※1参考:Current Biology「Domestic cat larynges can produce purring frequencies without neural input」
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(23)01230-7
猫と人との関係性を深めるゴロゴロ音の重要性や果たす役割
では、なぜ猫は喉をゴロゴロと鳴らすのでしょうか。実はその理由も科学的には完全に解明されていません。
しかし、ゴロゴロ音にはさまざまな役割があり、猫と人との関係性を深める上でも重要な意味があります。
【猫のゴロゴロ音の重要性と役割】
- ・母猫や飼い主さんに自分の存在を知らせるため
- ・母猫や飼い主さんとのコミュニケーション
- ・ゴロゴロ音は幸せホルモンの1つである「セロトニン」の分泌を促す
- ・ゴロゴロとした低周波音が痛みや傷の治療を促す
- ・ゴロゴロ音の周波数はリラックス効果がある
- ・人が無視できない特別なゴロゴロ音もある※2
猫のゴロゴロ音は、猫自身だけでなく他の猫や人に向けての役割もあり、どんなタイミングで喉を鳴らしているか、どんな気持ちのゴロゴロ音なのか意味を理解してあげることで、愛猫との絆がより深まるでしょう。
次章では、ゴロゴロ音を出すタイミングについて解説します。
※2参考:UNIVERSITY OF SUSSEX「Research reveals how cats purrfect the art of exploitation」
https://www.sussex.ac.uk/broadcast/read/1208
猫がゴロゴロ喉を鳴らす理由はわかっていませんが、ゴロゴロ音を出すタイミングは、主に以下の4つがあります。
- ・リラックスや満足しているとき
- ・要求したいことがあるとき
- ・不安やストレスを感じているとき
- ・病気やケガをしているとき
しぐさやゴロゴロの音の違いなどで、そのときの気持ちを読み取ってあげることができるでしょう。
ここでは、猫がゴロゴロ音を出すタイミングについて詳しく解説します。
リラックスや満足しているとき
猫のゴロゴロ音は、嬉しいときや満足しているとき、リラックスしているときに聞こえることが最も多いでしょう。
大好きな飼い主さんのそばにいる安心感や幸福感、快適さを感じているサインでもあります。
要求したいことがあるとき
猫は、要求したいことがあるときに、いつもと違ったゴロゴロ音を出すことがあります。
ごはんが欲しい、お腹が空いた、撫でて欲しい、トイレを綺麗にしてほしいなど、人が無視できない特別なゴロゴロ音を出して、要求しているのです。
この時のゴロゴロ音は、緊急感があるような、赤ちゃんの泣き声と同様の周波数で、人が放っておくことができないような音になっているのだとか。(※2)
何を要求しているか状況で判断し、できる限り要求に応えてあげましょう。
不安やストレスを感じているとき
実は猫のゴロゴロ音は、不安やストレスを感じているときにも出すことがあります。
動物病院などで低い音でゴロゴロ喉を鳴らしている場合は、気持ちを落ち着かせようとしているときなので、勘違いしないように注意が必要です。
病気やケガをしているとき
病気やケガが原因で、ゴロゴロと喉を鳴らすこともあります。
このときの猫のゴロゴロ音は、痛みを和らげるためであったり、飼い主さんに痛みを訴えている場合もあるため、異変がないかよく観察し、気になることがあれば動物病院を受診してください。
「猫のゴロゴロ音とは?」の章でも軽く触れましたが、猫のゴロゴロ音にはさまざまな効果があることが科学的に証明されています。
猫のゴロゴロ音からヒントを得て、医療器も開発されているほど!
そんな猫のゴロゴロ音がもたらす効果について見ていきましょう。
飼い主へのリラクゼーション効果
猫が喉を鳴らして出すゴロゴロ音は、音そのもののリラックス効果と、音が出す周波数によるリラックス効果があります。(※3)
猫のゴロゴロ音の周波数は25ヘルツ前後と低く、この低周波音が心拍の上昇を下げたり、不安を和らげる、ストレスを軽減させるといった良い影響を与えてくれます。
実際にフランスでは、ゴロゴロセラピー(ロンロンセラピー)が話題になっており、本の出版や猫カフェの人気が高まるなど、その効果は世界中で認められているようです。
※3参考:京都先端科学大学「猫のゴロゴロ音が人の精神状態に及ぼす影響」
https://lab.kuas.ac.jp/~jinbungakkai/pdf/2023/p2023_09.pdf
猫自身の健康維持
猫のゴロゴロ音は、猫自身の健康維持にも効果があります。
猫が喉を鳴らす振動により体を温め、血液のめぐりを良くして臓器の機能を高めていたり、骨密度を高めることが明らかになっています。
また、喉をゴロゴロ鳴らすことで、他の動物の3倍の速さでケガや骨折から回復するという驚くべき能力も身につけており、ゴロゴロ音には聞いている人へのリラックス効果だけでなく、猫自身の健康維持やケガの治療にも役立っていたのですね。(※3、4)
※4参考:JASA「The felid purr: A healing mechanism?」
https://pubs.aip.org/asa/jasa/article/110/5_Supplement/2666/550913/The-felid-purr-A-healing-mechanism
猫は言葉を話すことができず、何を考えているのか、どんな気持ちなのかと気になっている飼い主さんは多いでしょう。
直接猫に聞くことはできないため、あくまでも気持ちを理解するためのヒントではありますが、愛猫との信頼関係をより深めるためにも、以下の方法を試してみてください。
- ・しぐさや姿勢に注目
- ・声のトーンの変化に耳を傾ける
- ・普段の習慣や行動パターンを観察する
- ・一緒に過ごす時間を大切にする
「普段からやっているよ!」という飼い主さんも多いと思いますが、もう一度再確認してみましょう。
しぐさや姿勢に注目
猫はボディランゲージによって自分の感情を表しているため、しっぽの動きや耳の位置、姿勢に注目してみましょう。
しぐさや姿勢 | 気持ち |
---|---|
しっぽを高く上げて振る | 挨拶、喜び、興奮 |
しっぽを垂らして左右に振る | 思案 |
しっぽを軽く左右に振る | 観察、興味 |
しっぽを体に密着させる・足の間に挟む | 不安、恐怖 |
しっぽを力なく垂らす | 落ち込み、体調不良 |
しっぽを大きく振る | 苛立ち、怒り |
耳が前を向いている | リラックス |
耳がピンと立っている | 興味、興奮、警戒 |
耳が横や後ろに倒れている(イカ耳) | 不満、怒り、恐怖、警戒 |
お腹を見せて寝転ぶ | 信頼 |
柔らかく座っている | リラックス |
体を大きく見せる | 脅威を感じている |
背中を丸める | 威嚇、恐怖 |
もちろん、猫の性格によってはあまり感情を出さないこともありますが、表情などと合わせて判断してあげるといいでしょう。
声のトーンの変化に耳を傾ける
猫の鳴き声はさまざまな種類があり、個体によっても鳴き方は異なりますが、声のトーンの変化にも耳を傾けてみましょう。
声のトーン | 意味 |
---|---|
いつもより高い | 甘え、要求、興奮、不安 |
いつもより低い | 威嚇、不安、主張 |
声が出ていない(サイレントニャー) | 深い信頼 |
本来、猫はほとんど鳴くことがない生きものでしたが、人と暮らすようになり、要求を伝える手段の1つとして鳴いています。
声のトーンを変えることは、何らかの意味があるため、状況やしぐさなども合わせて判断し、愛猫の気持ちを読み取ってあげましょう。
普段の習慣や行動パターンを観察する
猫が普段しない行動をするときにも、甘えや不安、体調不調などさまざまな理由が隠れていますが、普段の習慣や行動パターンが分かっていないと、その違いに気づいてあげることができません。
愛猫の習慣や行動パターンをよく観察し、いつもと違う行動が見られたときは適切に対処してあげましょう。
一緒に過ごす時間を大切にする
当たり前のことですが、愛猫と一緒に過ごす時間は大切にしてください。
もちろん、猫の性格やペースに合わせて一人の時間を大切にしてあげることも大切なので、構いすぎは良くありませんが、メリハリをつけて接することで愛猫との絆はより深いものへとなるでしょう。
絆を深める方法
- ・撫でる、触る、マッサージをするなどスキンシップをとる
- ・毎日10分でも一緒に遊ぶ時間を作る
- ・話しかける
- ・快適で安心できる環境を作ってあげる
- ・寝ているときに起こさない
愛猫と絆を深めるためには、気持ちを読み取り、尊重してあげることが最も大切なことです。
これまでご紹介したゴロゴロ音や気持ちを理解するためのヒントなど、愛猫とのコミュニケーションに役立ててみてくださいね。
あわせて読みたい
正しい猫のブラッシング飼い主さんがどんなに気をつけていても、ペットが病気やケガをしてしまうことはあります。
ペットの病気やケガは誰にも予測することができないのはもちろん、病気は1つだけでなく複数かかるということも。
猫や犬の生涯平均治療費は約110万円ほどですが、あくまでも平均寿命の約14歳で算出したものであり、長寿化が進んだ今、それ以上に治療費がかかる可能性は高いと言えます。(※4、5)
高齢になれば通院や入院だけでも想像している以上に高額になることもあり、ペット保険に支払う保険料とは非になりません。もしもの時に備えて普段の蓄えだけでなく、ペット保険の加入も検討しましょう。
ペット保険は、補償対象となる病気やケガの治療費の一部をペット保険会社が負担してくれるものですが、多くのペット保険があるようにその補償内容や補償対象の病気、保険料などはペット保険会社ごとに異なります。
ペットと自分に合ったペット保険を選ぶためには、しっかり比較検討を行うだけでなく、約款や重要事項説明書なども読むことが大切です。
実際に長年ペット保険に加入しており、現在もさまざまなペット保険をチェックしている私が、ペット保険の選び方のポイントをご紹介します。
※4参考:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」
https://jvma-vet.jp/clinic/ryokin_h27/index2.html#page129
※5参考:アニコム損害保険会社「家庭どうぶつ白書2023 ペットにかける年間支出調査」
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312.pdf
ペット保険を選ぶポイント
ペット保険を選ぶポイントは、以下の4つです。
- ・目的や用途に合わせたプランを選ぶ
- ・シニア期以降の保険料を確認する
- ・補償対象外の病気を確認する
- ・更新時の条件(免責)追加の有無や継続不可となる条件を確認する
ここで詳しく解説するので、ペット保険を選ぶときの参考にしてください。
目的や用途に合わせたプランを選ぶ
ペット保険には、通院、入院、手術を補償するフルカバータイプのペット保険と、入院や手術のみ、特定の病気のみといった一部を補償する一部カバータイプのペット保険があります。
保険料を抑えて、高額になりがちな治療費だけを補償してほしいという場合は一部カバータイプ、治療費をまんべんなく補償してほしいという場合はフルカバータイプを選ぶのが一般的ですが、病気をしてからではペット保険に加入することは難しくなるため、通院が増えるシニア期以降のことも考えると、フルカバータイプのペット保険がおすすめです。
また、補償割合が高いほど保険料も高くなる傾向にあるため、保険料や補償範囲とのバランスを見ながら、自分に適した補償割合のものを選ぶようにしましょう。
シニア期以降の保険料を確認する
現在の年齢の保険料だけでなく、シニア期以降の保険料も確認しましょう。
ペット保険によっては、若い頃は保険料が安くても、シニア期以降に保険料が高額になるものもあり、保険料が家計の負担となって解約するということもあります。
ペットがシニアになると動物病院にお世話になる頻度も増える傾向にあるため、肝心なときにペット保険がないということを避けるためにも、現在の年齢の保険料だけでなく、シニア期以降の保険料も確認して払い続けられるか判断してください。
補償対象外の病気を確認する
ペット保険の補償対象外となる病気に、ペットがかかりやすい病気が含まれていないか確認しましょう。
さまざまなペット保険がありますが、歯科治療や椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼(パテラ)、気管虚脱、てんかんといった病気を補償対象外としているペット保険もあります。
また、補償対象であっても、1つの病気にペット保険を利用できる回数が決められており、完治するまでリセットされないということもあるので、腎臓病や心臓病など完治することがない病気になってしまったときのことも考えて選びましょう。
更新時の条件(免責)追加の有無や継続不可となる条件を確認する
約款や重要事項説明書をよく読み、更新時の条件(免責)追加の有無や継続不可となる条件を確認しましょう。
ペット保険は1年ごとに自動更新されますが、病気やケガで利用していたときに、翌年度に特定の部位や病気を補償対象外とする条件がついてしまう可能性があるものもあります。
とは言え、通常の利用頻度で条件がつくことはほぼないので過剰に心配する必要はありませんが、もし条件がついてしまったときのペット保険会社とのトラブルを避けるためにも、約款や重要事項説明書はしっかり読んでおくことをおすすめします。
また、ペット保険によっては、年間限度額や通算支払い限度額に達したり、年間の利用回数に達すると契約終了となり、新たにペット保険に加入し直さなければいけないというものもあるため、生涯に渡ってペット保険に加入しておきたい場合では他のペット保険を検討したほうがいいでしょう。
この記事の監修者
老犬・老猫のトータルケアサロン開業を目指すペットライターです。経験や知識を活かして各種メディアで記事の執筆や監修を行っています。
【保有資格】
ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット看護士 / ペットセラピスト / トリマー・ペットスタイリスト / 動物介護士 / ホリスティックケア・カウンセラー /
JKC愛犬飼育管理士 / YMAA薬機法・医療法適法広告取扱個人認証規格 / ペットフード安全管理者
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