マンチカンは、見た目の愛らしさと穏やかで社交的な性格が非常に人気がある猫種です。
この記事では、マンチカンに多い病気・飼育時の注意点等を中心に、ペット保険の選び方についてご紹介します。
ぜひ、参考になさって下さい。
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この記事をまとめると
マンチカンは、短い四肢が特徴で人気の猫種ですが、遺伝性疾患のリスクが高いです。
マンチカンに多い病気やケガは以下の5つ。
- 関節炎
- 猫伝染性腹膜炎
- 外耳炎
- 骨軟骨異形成症
- 下部尿路疾患
要約
マンチカンは、短足のため、足腰や関節に負担がかかりやすく、遺伝性疾患も発症しやすい。
そのため、骨軟骨異形成症や関節炎などの病気にかかりやすい。
また、外耳炎や猫伝染性腹膜炎などの病気も発症しやすい。
これらの病気は、治療費が高額になる可能性がある。
そのため、ペット保険に加入しておくことで、万が一の時に安心して治療を受けさせることができる。
マンチカンの特徴である短い四肢は、突然変異による自然発生が始まりです。現在のマンチカンのルーツにとなったのは、1983年にアメリカで見つかった四肢の短い猫で、後にその猫が産んだ子猫と様々な猫種との交配を含めたブリーディングが始まったとされています。
なお、諸説ありますが、マンチカンの名前は「オズの魔法使い」に登場する足が短い「マンチキン族」に由来すると言われています。
マンチカンとペルシャの交配種「ミヌエット」やマンチカンとアメリカンカールの交配種「キンカロー」もマンチカンと同様に日本では非常に人気があり、飼育頭数が増えています。
身体的特徴
被毛の色とパターンは豊富で、短毛種と長毛種の両方が存在します。マンチカンの四肢は、全ての個体で短いのではなく足が長いタイプのマンチカンもいます。体格は比較的小柄(体重2.5kg~4.5kg)ですが、筋肉が発達していてしっかりした体つきです。
また、愛らしい見かけとは裏腹に、ジャンプ力があり走るのも速くて非常に運動能力が高い猫種です。
マンチカンに多い遺伝性疾患
現在先天性の脊椎のトラブルは報告されていませんが、以下の遺伝性の関節疾患が多いとされています。
<骨軟骨異形成症>
折れ耳のスコティッシュフォールドにもよくみられる遺伝性疾患で、骨の成長と関節軟骨の構造に異常が生じ、関節の可動域が狭くなる病気です。特に手根関節、足根関節、尾椎に強く症状がでて、痛みを伴うことがあります。
症状は、四肢の跛行や関節がコブの様に腫れるなど強い痛みある場合や、ちょっと動きが悪いくらいの軽度の症状しか出ない場合があります。治療方法は、痛みの緩和を目的に、サプリメントや鎮痛剤を投薬します。
マンチカンの飼育時に気をつける事と生活面の注意点をまとめました。
飼育時に気をつける事
マンチカンは比較的太りやすい猫種です。特にオス猫で肥満傾向がある場合は、尿路結石ができるリスクが高くなるので要注意です。
マンチカンは、もともと関節疾患の懸念もある上に体重が重くなると、生活の質が極端に下がってしまいます。食事は適切な量を与えて太らせない様に注意するとともに、歩様に違和感が見られたらすぐに動物病院を受診しましょう。
生活面の注意点
マンチカンは、活発で社交的、非常に好奇心旺盛な性格です。運動量は多めなので飼育環境はゆったりと広い環境がおすすめです。遊び好きな猫種なので、おもちゃで遊ばせる、遊び道具が付帯しているキャットタワーを設置するなど、猫のストレスを解消してあげる様な工夫をしましょう。
マンチカンは社交的で多頭飼育にも向いている猫種と言われていますが、四肢が短いマンチカン同士の交配は死産の確率が高まるとされているので、むやみに交配するのは絶対にやめましょう。
マンチカンがかかりやすい病気は外耳炎、下部尿路疾患、消化器疾患があります。それぞれ主な症状と治療費の目安を表にまとめました。治療費は法律の規定により、同じ治療を行っても動物病院によって治療費の設定が異なります。そのため、治療費については一例としてお考え下さい。
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主な症状 |
治療費の一例 |
外耳炎 |
耳の後ろを掻く
耳の中から臭いがする
耳の中が汚れている
頭を振る |
耳処置:1,000円~3,000円
抗生剤・消炎剤投薬(7日分)
内服薬1,500円~3,000円
外用薬 2,000円前後 |
下部尿路疾患 |
トイレに頻繁にいく
トイレの中に座っている時間が長い
陰部を頻繁に舐めている
痛がって鳴く
尿が出ていない |
尿検査:1,000円~4,000円
レントゲン検査:
1枚5,000円~6,000円
エコー検査:5,000円~6,000円
抗生剤・消炎剤投薬(7日分)
内服薬1,500円~3,000円
尿道カテーテル留置:3,000円~ |
消化器疾患 |
食欲がなくなる
嘔吐する
軟便・下痢になる
腹痛で身体に力が入る・震える
舌をペロペロ動かす |
レントゲン検査 1枚5,000円~
血液検査 10,000円~
入院費 1日およそ5,000円~
点滴治療 1日5,000円~
制吐剤など皮下注射1回2,000円~
内視鏡検査 50,000円~
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マンチカンがかかりやすい病気を年齢別にまとめました。
子猫期(0~1歳)
<上部気道感染症(猫風邪)>
母猫からの移行抗体が減少してくる生後2か月前後にかかりやすい病気で、くしゃみ、鼻水、発熱、目やになど人間の風邪の様な症状が見られます。
原因はヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアなどの感染です。治療は点眼薬や点鼻薬、インターフェロンの投与などを行います。一旦症状がおさまっても再発する場合や、流涙や鼻づまりなどの症状が治らないケースもあります。
<消化器疾患>
消化器疾患とは食道や胃、腸など消化器系の病気のことです。アニコム家庭動物白書2022のデータによると、マンチカンは他の猫種に比べて嘔吐や下痢などの消化器疾患にかかりやすいという報告もあります。
また、子猫の時期に特に多いのは下痢や嘔吐、そして異物誤飲です。
特に飼い始めたばかりの子猫の時期は、環境の変化によるストレスや、寄生虫の感染などによる下痢が多く見られます。異物の誤飲を防ぐためには、誤飲しそうなおもちゃなどを置きっぱなしにしないことが一番の対策です。いたずら好きな猫の場合には、留守番はケージに入れる様にする等工夫しましょう。
<猫伝染性腹膜炎>
猫伝染性腹膜炎は1歳未満のオスの子猫に発症しやすいと言われています。ある統計では、理由は不明ですが雑種より純血種での発生が多いという結果で、わたしの臨床経験上でも同じように純血種の猫に多い印象があります。
猫伝染性腹膜炎ウイルスは、ほとんどのイエネコが感染していると言われる猫腸コロナウイルスが突然変異してできたと言われています。症状は食欲元気の低下、発熱、体重減少が見られ、腹水や胸水が貯まるウエットタイプとブドウ膜炎、肝臓や腎機能が低下し神経症状がみられるドライタイプの二つのタイプがあります。この病気は、どちらのタイプも非常に治療の反応が悪く、残念なことに予後不良の場合がほとんどです。
成猫期(1歳~7歳)
<外耳炎>
マンチカン以外でも、外耳炎は猫には比較的多い疾患です。
原因はマラセチア菌という常在菌の増殖や細菌感染、耳ダニなどの外部寄生虫、過剰な耳のケアなど様々です。治療は点耳薬や駆虫薬など原因に合わせた治療を行います。
<下部尿路疾患>
下部尿路疾患とは、膀胱と尿道の病気のことで、特に多いのは特発性膀胱炎です。
しかし、下部尿路疾患は、尿石症や尿路感染症、腫瘍などが原因であっても頻尿や排尿困難、血尿などの同じような症状がみられるので、何が原因なのかを調べることが大切です。
また、尿道が閉塞している場合は、命に関わるのでなるべく早く治療する必要があります。愛猫がきちんと排尿しているかどうか毎日確認しましょう。
シニア期(7歳~)
<慢性腎臓病>
シニア期の猫が最もかかりやすい病気の一つです。症状は多飲多尿、食欲不振、毛並みが悪くなる、痩せてくるなどで、この様な症状が見られた時には腎臓の機能の7割近くがダメージを受けている状況です。そして、壊れてしまった腎臓の細胞は元通りに再生させることはできません。治療は、内服薬の投薬や食餌療法、輸液療法などで、残った腎臓の機能をなるべく良い状態に維持することを目的として行います。
<甲状腺機能亢進症>
シニア期の猫に多い内分泌疾患です。原因は、甲状腺過形成、甲状腺濾胞腺腫、甲状腺癌で、甲状腺の機能が亢進しすぎることで、異常に食欲が旺盛になり、その割には体重が減少していきます。鳴き声が大きくなる、昼夜に関わらず良く鳴くなどの症状が見られたらこの病気を疑います。
診断は、触診や血液検査を行い、甲状腺ホルモンの値を確認します。治療は、食事療法や甲状腺の働きを止める内服薬の投薬を行う内科療法か、甲状腺の摘出手術を行う外科療法を行います。
病気を完全に予防することは難しくても、愛猫の異常にすぐに気づいて対処することは、非常に大切です。愛猫の健康状態をチェックするポイントは以下の7つです。
- ・食欲の有無の確認
- ・排尿や排便の状態(特に排尿は毎日しているかチェックする)
- ・飲水量のチェック
- ・体重測定する
- ・歩様・動き方を見る
- ・口腔内を見る(粘膜の色や歯の状態)
- ・身体に触れること
愛猫が元気で長生きするために、可能であれば毎日この7つのポイントをチェックすることをおすすめします。
ペットには、人間の様な公的な健康保険制度はありません。そのため、動物病院での治療費の負担は全額自己負担です。状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になる場合や、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。
何かあった時のための備えとしてペットのためにご自身で備えるという方法もありますが、突然のケガや病気など予想もしなかった事態に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。
ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。
現在多くのペット保険会社がありますが、保険会社や契約プランにより、保険料や補償の内容等は異なります。どんな補償内容が必要かは人によって異なりますが、ここではペット保険の選び方のポイントについてお伝えします。
ペット保険選びのポイント
ペット保険を選ぶポイントは以下の3つです。
<保険料>
一般的に、補償内容が多ければ多いほど、さらにペットの年齢に比例して保険料は高くなります。実際に支払う保険料は、月額500円~1万円くらいまでとかなり差があります。どの補償内容が必要なのか検討し、保険料とのバランスを考えて決めましょう。
<補償内容>
補償内容は、手術のみ補償するプラン、通院も含め手術や入院も補償するプランなどいろいろなプランがあり、補償割合も30%~90%などがあります。保険料とのバランスもありますが、「万が一の事態に備え高額になりがちなペットの治療費の負担を軽くし、さらに通院のハードルが下がる」という意味では通院と手術・入院を補償するプランがおすすめです。
<加入時の年齢>
ペット保険は、ペットの年齢が高ければ高いほど保険料が高くなるのが一般的です。
また、ある程度の年齢になると加入できないプランもあります。反対に、シニア専用の保険やシニアになっても継続できるペット保険もあります。
猫の平均寿命は約15歳なので、シニアになっても使い続けられるペット保険をおすすめします。また、保険会社によっては動物病院での支払い時に補償額を差し引いて窓口精算できる(対応可能動物病院のみ)ペット保険や、医療やしつけについて獣医師に24時間無料電話相談ができるサービスが付帯しているペット保険もあります。初めて猫を飼う方には、この様な相談ができる付帯サービスがあるペット保険がおすすめです。
また、ペット保険は病気やケガのために備える目的のものなので、ワクチンや不妊・去勢手術、ノミ・マダニなどの予防に関するものや保険加入前に発症している病気や先天性疾患に関しては補償の対象外なので注意しましょう。また、ペット保険の補償には限度額や限度日数・回数など制限があるので、保険料や補償内容・年齢などの加入条件と併せて確認しておくと安心です。
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