サモエドは、明るく社交的な性格の大型犬です。
見た目も愛らしく、笑っている様な口元は「サモエド・スマイル」と呼ばれ人々に愛されています。
この記事では、サモエドの寿命、健康で長生きするためのポイントをまとめました。
サモエドは、明るく社交的な性格の大型犬です。
見た目も愛らしく、笑っている様な口元は「サモエド・スマイル」と呼ばれ人々に愛されています。
この記事では、サモエドの寿命、健康で長生きするためのポイントをまとめました。
サモエドの平均寿命は約13.4歳で、他の大型犬と同程度です。
ロシア北部の厳しい寒さに耐えるための豊かな被毛と、社交的で明るい性格が特徴です。 寒さには強いが暑さには弱いという特性があります。
長生きのためのポイントは以下の4つ。
突然の病気やケガに備え、正しいペット保険を選ぶことの重要性が考慮されています。
これらのポイントに注意することで、サモエドの健康を維持し、長生きさせることができます。
(一社)東京都獣医師会霊園協会が実施した「犬の寿命調査」によると、サモエドの平均寿命は13.4歳前後で、全犬種あわせた平均寿命とほぼ同じという報告があります。
他データでみると小型犬を含めた犬の平均寿命は14.62歳、中型・大型犬で13.86歳という報告があり、サモエドの寿命は大型犬の中では平均的だといえるでしょう。
参考データ:
(一社)東京都獣医師会霊園協会 犬の寿命調査
https://petreien-a.tokyo/dog/
(一社)ペットフード協会 令和5年 全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/data/chart2023/7.pdf
サモエドのルーツは、ロシア北部及びシベリアで遊牧民族のサモエド族と共に生活していた犬です。
厳しい寒さの中でトナカイの狩猟やそり犬として働き、室内では暖房代わりになって飼い主と一緒に寝ていたといわれています。
サモエドが世界に広がるきっかけになったのは、調査のためにサモエド族と過ごしたイギリスの動物学者アーネスト・キルバーン・スコット氏が、帰国する際に持ち帰った子犬です。
当初は、現在のサモエドの様な白い被毛だけではなく、ブラウンやクリームなど様々な色の犬がいました。
その後様々な交配を経て、1909年にイギリスでサモエドのスタンダードが作られました。
現在はピュア・ホワイトかクリーム色(ホワイトにビスケットが入る場合もあり)で統一されています。
サモエドは体重が25kg~36kg、体高が50~60センチ前後で、フワフワした長くて白い被毛が特徴です。
知能が高く快活で遊び好き、飼い主に対して甘えん坊、人に対して友好的な性格で家庭犬に向いています。
その反面、常に飼い主の愛情を求めているので、留守番の多い家庭環境ではストレスが溜まってしまう恐れがあります。
被毛はダブルコート(上毛+保温や保湿の役割をする下毛)で、極寒の地でも耐えられる様に密に大量の下毛が生えており、抜け毛が非常に多い犬種です。
さらに、サモエドの豊かな被毛はブラッシングなどのケアを怠るとすぐに毛玉ができるため、毎日の念入りなお手入れは欠かせません。
また、寒さに強い反面、暑さには弱いため飼育温度には注意が必要です。
ここでは、わたし自身の臨床経験をふまえて、サモエドを長生きさせるためのコツを解説します。
犬種を問わず、わたしがアドバイスする「健やかで長生きする秘訣」は、
の2つです。
歯周病は、単に口の中が汚い、口臭がするという口腔内の問題だけにとどまらず、全身に影響を及ぼす感染症と言っても過言ではありません。
実際に、歯周病菌は心疾患や内臓疾患の原因になることが知られています。
わたしの勤務先でも、ひどい歯周病の犬を全身麻酔で歯科処置をして肝機能が改善したケースや見た目でわかるくらい若返って元気になった例が数えきれないほどあります。
成犬になってケアしようとしても、嫌がって出来ないことが多いため子犬の頃から少しずつ慣らしていくことが大切です。
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さらに、肥満でリスクが高まる病気は骨関節炎、糖尿病、腫瘍など愛犬の生活の質を極端に落とす可能性があるものばかりです。
特にサモエドは大型犬でもともと体重が重いため、太らせるとさらに関節への負担が大きくなります。
食事管理と体重コントロールを心がけて、愛犬を太らせないようにしましょう。
健康管理は継続することが大切です。
健康管理を習慣化するためのおすすめの方法は、お散歩の後や夕食の後など愛犬がリラックスしている時間に身体を触ることです。
身体を触ってしこりや腫れがないか、呼吸が荒くないか、極端に痩せたり太ったりしていないかなど、触ることで得られる情報はたくさんあります。
サモエドは被毛が密で体表の表面のトラブルを見つけにくいため、日々愛犬の身体に触れることは病気の早期発見につながります。
健康上の問題だけでなく、人が大好きなサモエドにとっても飼い主と触れ合う楽しい時間になるため、是非毎日の習慣になさって下さい。
基本的には、総合栄養食と新鮮なお水が中心の食事がおすすめです。
なお、犬は雑食動物とはいえ、消化器の特徴は肉食動物に近い構造です。
手作り食のみの食事を与える場合は、犬の消化器に負担のかからないこと、必要な栄養素が摂れるように動物栄養学を学んでから実践することをおすすめします。
サモエドはかなりの運動量が必要です。
普段のお散歩の他に、まとまった時間を設けてドッグランなどで思いっきり走らせてあげましょう。
社交的で人が大好きなサモエドには、会員制のドッグラン等で仲の良いお友達と思いっきり遊ぶ、飼い主さまとおもちゃでひっぱりっこ遊びなどもストレス発散におすすめの方法です。
健康的な生活を送るためには、定期的な健康チェックは必須です。
万が一病気になっても、早期発見と早期治療で病気と上手くつきあうことで回復できる場合や少しでも寿命を長くできる可能性があります。
最低でも年に1回は血液検査・尿検査などの健康診断を受けましょう。
現在日本国内に狂犬病の発生はありませんが、海外では狂犬病が発生している国も多く、さらに狂犬病は人畜共通感染症で発症すると致死率100%です。
日本では狂犬病予防法という法律で、生後91日以上の犬は毎年1回の狂犬病予防接種を受けることが義務付けられています。
子犬はおよそ生後2ヶ月を境に母犬からの移行抗体が減っていきます。 そのため、生後2ヶ月以上の子犬の時期に約1ヶ月間隔で2回ないし3回のワクチン接種が推奨されています。 その後は、1年に1回のワクチン接種を行う場合が一般的です。
なお、WSAVA(世界小動物獣医師会;World Small Animal Veterinary Association)のワクチネーションガイドラインでは、成犬の時期にはコアワクチン(犬ジステンパーウイルス(CDV)、 犬アデノウイルス(CAV)および犬パルボウイル ス 2型(CPV-2)のワクチン)は3年に1回、ノンコアワクチン(上記3つ以外犬レプトスピラ・犬パラインフルエンザなど)は地理的要因や環境、ライフスタイルによって、感染症のリスクが生じる動物にのみ必要だという記載があります。
しかし、実際はコアワクチンの抗体価が十分でないケースあるため、各病院によって対応は分かれるというのが正直なところです。
参考:世界小動物獣医師会 犬と猫のワクチネーションガイドライン
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf
フィラリア(犬糸状虫)とは蚊が媒介する寄生虫で、フィラリアに感染している犬の血液を吸った蚊に刺されることで感染が広がっていきます。
蚊が感染源になるため、蚊が発生してからいなくなる1ヶ月くらいまでの時期(地域によって異なりますが4月~12月くらいまで)は予防をする必要があります。
フィラリア予防は、年に1回皮下に注射する方法もしくは月に一回の投薬で行います。
わたしの勤務先の病院で飼い主さまのご要望が多いのは、フィラリア以外に消化管内の寄生虫やノミ・マダニなどの外部寄生虫も一緒に駆虫できるおやつタイプです。
おやつタイプ以外にスポットタイプで皮下に滴下する方法もあるので、かかりつけの動物病院でよく相談して愛犬にあった方法でしっかり予防しましょう。
サモエドはもともと寒さが厳しい地域が原産国で、寒さに耐えられるような被毛が全身を覆っているため、熱中症には特に注意すべき犬種だといえるでしょう。
熱中症は、高温多湿な環境に長時間さらされる、過度な運動などが原因で発症します。
初期の症状は呼吸が荒い、頻脈(脈が速くなる)、なんとなく動きが鈍くなるなどで、水分補給をはじめ点滴治療等の適切な治療や対処が行われないと時間の経過とともに症状が悪化していき、死に至るケースもあります。
室内の温度管理はもちろん、気温や湿度が高い時期の運動やお散歩はしない、一緒にお出かけした際に車の中にひとりで置いておかないなど、熱中症対策を怠らないようにしましょう。
皮膚疾患の原因は、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、免疫介在性疾患、腫瘍など多岐にわたり、症状は、痒みや赤み、脱毛、ブツブツしたものが出来るなど様々です。
治療は、症状や原因に応じて投薬や食事療法、薬浴等の内科的な治療を中心に行いますが、原因が複数ある場合には完治しないケースも多くみられます。
また、日本の高温多湿な気候やサモエドの密な被毛の状況は、皮膚のコンディションが悪化しやすいと考えられます。
皮膚のコンディションを整えるためにも、日々丁寧にブラッシングして無駄な抜け毛を取り除いておきましょう。
胃捻転や胃拡張は、胃の内のガスの急速な蓄積によって起こる急性疾患で、食後すぐの運動、早食い、一度に大量のフードを食べることで発症リスクが高くなるといわれています。
大型犬で胸が深い犬種に多い疾患ですが、ミニュチュアダックスフンドなど小型犬にも発症することがあります。
初期症状は、急に動きが鈍くなる、呼吸速迫や落ち着きがなくなる、嘔吐する動作をするものの嘔吐できずによだれを垂らすなどで、このような症状がみられたらすぐに動物病院に連れていく必要があります。
治療は、胃チューブ等により胃内の蓄積ガスを除去し、必要に応じて胃捻転の整復や胃壁と腹壁の固定など外科手術を行います。
胃捻転は、適切な治療を行っても死亡するケースも多く、非常に怖い病気です。
サモエドは活発で食べることが大好きな個体が多いため、食後すぐに遊ばせない、早食いの場合は1回の食事の量を少なくするなどの予防対策を心がけましょう。
前述のとおり、サモエドのルーツは厳しい寒さのなかで狩猟やそりをひく犬として人と共に生活してきた犬です。
サモエドにとって良い生活環境とは、涼しい飼育環境と十分な運動、そして遊びやお散歩などを含め、飼い主との密なコミュケーションがとれる環境です。
また、性格も見た目の愛らしさも非常に魅力的なサモエドですが、サモエドがストレスなく暮らすためには、お散歩や犬と一緒にいる時間、被毛のケアなどの時間的な余裕が必要です。
そのため、サモエドは「お散歩やお手入れが大変というよりも、楽しい方が勝っています」という方、愛犬と一緒にいる時間が十分とれるという方以外にはあまりおすすめできない犬種だといえるでしょう。
サモエドは皮膚疾患になりやすく、自宅でのケア以外にもトリミングサロン等で定期的にケアをする必要があります。
わたしがサモエドの飼い主さまにおすすめするのは、皮膚の状態をチェックして必要があれば治療をしてもらえる動物病院併設のトリミングサロンです。
大型犬の飼い主さまから「若いうちはケアしてもらえましたが、歳をとって持病を抱えると普通のトリミングロンでは断られてしまいます」という話を伺うので、最期まで継続してケアしてもらえるトリミングサロンであればより安心です。
ペットには人間の様な公的な保険制度はありません。
そのため、病気やケガの治療に支払う医療費は、すべて飼い主の自己負担です。
治療内容によっては高額になるケースも多く、経済的な負担が大きいことが予想されます。
普段からペットのためにご自身で備える方法の他に、予想もしていなかった突然の出費に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。
ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。
現在ペット保険を扱う会社は10社以上あり、保険会社や契約プランにより保険料や補償の内容等は異なります。
一般的には補償内容が多ければ多いほど保険料は高くなるため、ご自身と愛犬に最適なペット保険を選ぶためには情報を集めて比較検討をする必要があります。
「保険料はなるべく抑えたい」「なるべく多くの補償や付帯サービスを受けられる保険が安心」などペット保険に求める内容は人それぞれ違いますが、ペット保険を選ぶにあたって優先順位が高いのは、
の2点だと思います。
保険料は最も安いものでは月に500円~、金額が多いプランでは1万円前後です。
補償内容が多ければそれに伴って保険料も高くなるので、補償内容とのバランスを考えて検討しましょう。
また、保険料は加入してから終身までずっと同じではありません。
若い時は安い保険料でも更新の度に保険料が上昇するプランや、ある程度の年齢になったら保険料が一定になるプランなど保険料の見直しが行われます。
一般的には年齢が上がるにつれて保険料が高くなり、加入条件が厳しくなる傾向があります。
補償内容は保険会社やプランによって様々で、
などがあります。
サモエドは、皮膚疾患などで通院する機会が多いことが予想されることや、大型犬に多い胃捻転など思わぬトラブルのことも考慮して手術や入院治療と通院治療の両方をしっかり補償してくれるプランを選ぶことをおすすめします。
ペット保険には加入条件や補償対象にならない場合があります。
●ペット保険は「病気やケガに備える」のが目的
不妊去勢手術、ワクチン接種やフィラリア予防など予防に関するものや、保険加入以前にかかっていた病気やケガについては補償対象外です。
●補償は無制限ではなく上限(支払限度額または支払限度日数・回数)がある
●加入や更新の際に年齢の制限などの条件がある
ある程度の年齢になったら加入できない、もしくは加入していた保険を更新できなくなる場合がありますが、シニア専用のペット保険や終身に渡って補償を継続できる保険もあります。
ペット保険に加入する際には、保険料と補償内容のバランスの他、補償内容や条件をしっかり確認し、ご自身と愛犬にとって必要なプランを選びましょう。
この記事の監修者
現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
▼ドリトルけいのいぬねこ健康相談室
https://www.dolittlekei.com/
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。