12周年

【獣医師監修】
フレンチブルドッグの平均寿命は?
長生きのコツは?

フレンチブルドッグの写真

フレンチブルドッグは、愛嬌たっぷりな表情やしぐさが話題となり人気が急上昇している犬種です。

この記事では、フレンチブルドッグの平均寿命と長生きのコツを中心にまとめました。

フレンチブルドッグの平均寿命と最高寿命は?

フレンチブルドッグの平均寿命は約10歳~11歳前後で、全犬種あわせた平均寿命よりも寿命が短い犬種です。
フレンチブルドッグのギネス記録はみつかりませんでしたが、フレンチブルドッグのオーナーさん向けの2023年の3月発売の雑誌に18歳のフレンチブルドッグが紹介されています。

私自身の今までの臨床経験から考えると、他犬種でも18歳を超えるのはなかなか難しく、雑誌で紹介されているワンちゃんはかなりのご長寿です。

参考データ:
(一社)東京都獣医師会霊園協会 犬の寿命調査
https://petreien-a.tokyo/dog/
アニコム動物白書2023 犬と猫の寿命 犬種別の平均寿命
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312_2_4.pdf
BUHI 2023年春号 Vol.66 オークラ出版

フレンチブルドッグの特徴や性格

フレンチブルドッグのルーツは諸説ありますが19世紀の産業革命の時代に、イギリスからフランス北部に職人が連れていったミニュチュアブルドッグが原型で、「フレンチ」の名はフランスで他犬種と交配して作出されたからだといわれています。

もともとはネズミ退治に使われていた犬ですが、ユニークな外貌がパリの貴婦人や芸術家の間に広まり、世界中で家庭犬として飼育されるようになりました。
近年の日本でも、愛嬌たっぷりの顔立ち、コミカルな動きとアンバランスな体型に魅了される愛犬家が増えて、ジャパンケネルクラブの犬種別登録頭数増加数で1位を獲得したこともある大人気犬種です。

犬種としての特徴

フレンチブルドッグは、体重が8kg~14kg、体高が30センチ前後、筋肉質でがっしりした体格で、小さくても中型犬並みにパワフルです。

性格は明るく活発、好奇心旺盛で興奮しやすい傾向があるため、落ち着かせるしつけは重要です。また、さびしがりやのため、犬がひとりでお留守番をする状況が多いご家庭にはあまり向いていません。

被毛は短く、毎日軽くブラッシングするだけで被毛のお手入れは簡単なものの、抜け毛が非常に多い犬種です。

コウモリの様な大きい耳や大きな目も特徴的で、身体に対して頭部が大きいことがユニークな外貌の源になっています。

フレンチブルドッグは、パグやシーズー、ボストンテリアなどと同様に頭骸骨に対してマズル(鼻先から口にかけての前に飛び出た部分)が短く、短頭種と呼ばれています。
短頭種の特徴の一つは体温調整が苦手で暑さに弱いことで、気温が高い日は熱中症のリスクが非常に高くなるため注意が必要です。

フレンチブルドッグを長生きさせるためのコツ

ここでは、私自身の臨床経験をふまえて、フレンチブルドッグを長生きさせるためのコツを解説します。

獣医師からの長生きアドバイス

犬種を問わず、わたしがアドバイスする「健やかで長生きする秘訣」は、以下の2つです。

  • ・歯をきれいに保つ
  • ・太らせない

その他、フレンチブルドッグの寿命に大きく影響する熱中症の応急処置についてお伝えします。ぜひ参考になさって下さい。

歯をきれいに保つ

歯周病は、単に口の中が汚い、口臭がするという口腔内の問題だけにとどまらず全身に影響を及ぼす感染症と言っても過言ではありません。
実際に歯周病菌は心疾患や内臓疾患の原因になることが知られています。

わたしの勤務先でも、ひどい歯周病の犬を全身麻酔で歯科処置をして肝機能が改善したケースや見た目で分かるくらい若返って元気になった例が数えきれないほどあります。

フレンチブルドッグは他犬種に比べて歯周病になりにくいというデータもありますが、3歳以上の小型犬の約8割が歯周病または歯周病予備軍というデータが示す通り、デンタルケアを全く行わなければ若い犬でも歯周病になる可能性があります。

さらに成犬になってケアしようとしても、嫌がって出来ないことが多いため子犬の頃から少しずつ慣らしていくことが大切です。
初期症状としてはいびきをかいたり、激しい呼吸をしたりする様子が見られます。

フレンチブルドッグは、口が大きく顔にしわが多いため顔周りは特に清潔にする必要があり、「食後に歯磨きをして顔をきれいに拭く」という流れで習慣づけるのもおすすめの方法です。

太らせない

犬でも肥満は短命だというはっきりしたデータがあります。

さらに、肥満でリスクが高まる病気は骨関節炎、糖尿病、腫瘍など愛犬の生活の質を極端に落とす可能性があるものばかりです。

前述したとおり、特にフレンチブルドッグは食べることが大好きな犬種です。
「あの大きな目でじっと見られるとつい・・」とおやつを頻繁にあげる習慣で、あっという間に太ってしまいます。

短頭種のフレンチブルドッグにとっては、肥満によって少し動くと呼吸が苦しくなることは命に関わる状況につながります。
食事管理と体重コントロールを心がけて、愛犬を太らせないようにしましょう。

熱中症かもしれない!その場でできる応急処置は?

熱中症は、時間が経過するほど症状が悪化するため、おかしいと思ったらすぐに動物病院につれていくことが愛犬の命を守る行動です。

外出先などで動物病院に着くまでの間の応急処置は、いきなり冷たい水や氷で冷やすと末梢の血管が収縮して深部の体温が下がらなくなるため、常温の水をかける、常温の水で濡らしたタオルなどで身体を冷やすことからはじめましょう。涼しい場所で風を当てて、少し落ち着いてきたところで首のまわり、腋の下、鼠径部を冷やします。

愛犬の健康管理を習慣化する方法

フレンチブルドッグは、口蓋裂、睾丸停滞、尿管の位置の異常などの先天性の異常がみられることがあります。

鼻腔狭窄・軟口蓋過長・呼吸障害(短頭種気道症候群)など、鼻や喉の周辺に問題を抱えることが非常に多いのも特徴で、その結果体温上昇による熱中症や低酸素血症に陥りやすくなります。

また、皮膚疾患も多く、身体や顔周りなどを常に清潔に保つように気を配る必要があります。

フレンチブルドッグがかかりやすい病気の治療方法と治療費

フレンチブルドッグがかかりやすい病気の治療方法と治療費をまとめました。
なお、同じ治療をしても動物病院によって金額の設定が異なるため治療費の一例として表記してあります。

主な症状 治療費の一例
鼻腔狭窄
軟口蓋過長
・呼吸の様子や呼吸音などの状況から判断し、必要に応じて外科手術を行う
血液検査10.000円~
レントゲン検査10,000円~
鼻孔形成術30,000円
軟口蓋切除術50,000円
熱中症
・身体を冷やす
・静脈点滴を行い、体内の水分やミネラル分を補給する
・重症の場合は酸素投与を行う
血液検査10.000円~
静脈点滴5,000円~
入院治療1日5,000円~
酸素室使用1日5,000円~
皮膚疾患
(膿皮症・脂漏性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎など)
・必要に応じて皮膚検査、血液検査を行う
・シャンプー療法、食事療法、抗生剤やかゆみ止めの投薬など症状に応じて治療する
皮膚検査1,000円~2,000円
血液検査10.000円~
抗生剤・消炎剤投薬(7日分)
内服薬1,500円~3,000円
外用薬2,000円前後
薬用シャンプー2,000円~
治療目的の薬浴など5,000円~

フレンチブルドッグの年代別の過ごし方の注意点

子犬期

フレンチブルドッグは、前述のとおり活発で興奮しやすい性格のため、しつけや社会化をしっかり行う必要があります。
特にお散歩時のひっぱり防止対策は重要です。

また、遊び好きで食欲旺盛のため、おもちゃや人間の食べ物などの誤飲や誤食には特に気をつけましょう。

フレンチブルドッグは飼い主に従順で、比較的しつけがしやすい犬種です。
上手くできたら褒めてしつけるのが基本ではありますが、フレンチブルドッグは飼い主の言動を注意深く観察する傾向があるので、注意する場合は大きな声で強く叱るよりも、静かな口調で諭すように叱ったり落胆した様子をみせたりしたほうが効果的にしつけられるといわれています。

成犬期

成犬期で最も注意する健康上の注意点は、太らせないことです。

特にフレンチブルドッグは食欲旺盛で太りやすいうえに、もともと鼻や喉周辺にトラブルが出やすいため肥満は命に関わります。
食事やおやつは一日量を量っておいて、その中から与えるようにするなど体重管理を心がけましょう。

シニア期

およそ7歳を過ぎたあたりから愛犬のちょっとした変化に気づくことが増えてきて、ちょうどその頃がいわゆるシニア期の始まりです。
少しずつ不調が現れる、病気がちになるなど様々な変化が起きやすい年齢でもありますが、極端なケアをするのではなく、「養生する(体調を整える)」ことを心がけましょう。

例えば、愛犬の様子をよく観察して極端に長いお散歩やハードな遊びは避ける、水分を十分に摂れる食事を与えるなどちょっとした工夫が大切です。

フレンチブルドッグの健康管理

フレンチブルドッグの健康管理について、特に重要な以下のポイントを中心に解説します。

  • ・食事管理
  • ・運動とストレス対策
  • ・熱中症対策
  • ・定期的な健康チェック

食事管理

犬は雑食動物とはいえ、肉食動物に近い消化器の特徴を持っています。
そのため、たんぱく質や脂肪の消化に適した身体の構造で繊維質や糖質の消化はあまり得意ではありません。

基本的には、総合栄養食と新鮮なお水が中心の食事がおすすめですが、手作り食中心の食事を与える場合はリンとカルシウムのバランスやミネラル・ビタミンの不足などが懸念されるので、動物栄養学を学んでから実践することをおすすめします。

運動とストレス対策

犬は「動きたい」という衝動が強い動物です。
年齢や体力に合わせた適度な運動や散歩は、愛犬の心身の健康を維持するのに役立ちます。

フレンチブルドッグは、運動や遊びが大好きな犬種です。
季節を問わず室内でも楽しく遊べるような工夫して、愛犬の体力や興奮を飼い主さまが上手にコントロールすることをこころがけましょう。

熱中症対策

フレンチブルドッグは想像以上に暑さが苦手です。
4月~5月くらいの時期から、外出時には首回りを冷やすネッククーラーを携帯する、普段から水分がしっかり摂取できるようにウエットフードや水分補給ができる犬用のゼリー状のおやつを活用するなど熱中症対策を始めましょう。

また、熱中症のリスクが高まる気温の高い時期には、早朝など涼しい時間にお散歩をするように心がけるとともに、室内でも24時間冷房をつけたままにするなど熱中症対策をしっかり行うことが大切です。

基本的には冷房の設定温度は25℃~26℃前後で、飼い主さまによっては寒いと感じるくらいが彼らにはちょうどいいくらいです。気温だけではなく湿度が高いことも熱中症の原因になるため、気温と同様に湿度管理も心がけましょう。

また、興奮しすぎることも熱中症のリスクを高めるため、お留守番させる状況が考えられるご家庭ではひとりでも落ち着いてお留守番ができるようにしつけをしましょう。

定期的な健康チェック

食欲の有無、排便・排尿の様子、呼吸状態、姿勢など、普段から愛犬をよく観察し、愛犬の身体に触れることが病気の早期発見につながります。

さらに、おかしいと思ったら早めに動物病院を受診する習慣をつけましょう。
健康的な生活を送るためには、定期的な健康チェックは必須です。

万が一病気になっても、早期発見と早期治療で病気と上手くつきあうことで回復できる場合や少しでも寿命を長くできる可能性があります。
最低でも年に1回は血液検査・尿検査などの健康診断を受けましょう。

ペット保険の選び方

ペットには人間の様な公的な保険制度はありません。そのため、病気やケガの治療に支払う医療費は、すべて飼い主の自己負担です。
治療内容によっては高額になるケースも多く、経済的な負担が大きいことが予想されます。

普段からペットのためにご自身で備える方法の他に、予想もしていなかった突然の出費に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。

ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。

現在ペット保険を扱う会社は10社以上あり、保険会社や契約プランにより保険料や補償の内容等は異なります。
一般的には補償内容が多ければ多いほど保険料は高くなるため、ご自身と愛犬に最適なペット保険を選ぶためには情報を集めて比較検討をする必要があります。

ペット保険選びのポイントは?

「保険料はなるべく抑えたい」「なるべく多くの補償や付帯サービスを受けられる保険が安心」などペット保険に求める内容は人それぞれ違いますが、ペット保険を選ぶにあたって優先順位が高いのは、

  • ・保険会社に支払う保険料
  • ・補償内容

の2点だと思います。

保険会社に支払う保険料について

保険料は最も安いものでは月に500円~、金額が多いプランでは1万円前後です。

補償内容が多ければそれに伴って保険料も高くなるので、補償内容とのバランスを考えて検討しましょう。

また、保険料は加入してから終身までずっと同じではありません。
若い時は安い保険料でも更新の度に保険料が上昇するプランや、ある程度の年齢になったら保険料が一定になるプランなど保険料の見直しが行われます。

一般的には年齢が上がるにつれて保険料が高くなり、加入条件が厳しくなる傾向があります。

補償内容について

補償内容は保険会社やプランによって様々で、

  • ・病気やケガによる通院や入院を含め手術もすべて補償する
  • ・手術に関する治療費のみ補償する
  • ・保険会社が補償する割合は30%、50%、70%が多い(90%や100%もある)
  • ・1回の手術につき50万円を補償するなど手術に特化している

などがあります。

フレンチブルドッグは、皮膚疾患など通院する機会が多いことが予想されることや、誤飲など思わぬトラブルのことも考慮して手術や入院治療と通院治療の両方をしっかり補償してくれるプランを選ぶことをおすすめします。

ペット保険を選ぶ際の確認事項

ペット保険には加入条件や補償対象にならない場合があります。

●ペット保険は「病気やケガに備える」のが目的
不妊去勢手術、ワクチン接種やフィラリア予防など予防に関するものや、保険加入以前にかかっていた病気やケガについては補償対象外です。

●補償は無制限ではなく上限(支払限度額または支払限度日数・回数)がある

●加入や更新の際に年齢の制限などの条件がある
ある程度の年齢になったら加入できない、もしくは加入していた保険を更新できなくなる場合がありますが、シニア専用のペット保険や終身に渡って補償を継続できる保険もあります。

ペット保険に加入する際には、保険料と補償内容のバランスの他、補償内容や条件をしっかり確認し、ご自身と愛犬にとって必要なプランを選びましょう。

この記事の監修者

大熊真穂

大熊真穂

現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
▼ドリトルけいのいぬねこ健康相談室
https://www.dolittlekei.com/
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。

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