日本猫は、その名の通り日本人に長く親しまれている日本原産の猫です。
すっと通った鼻筋と美しい毛並みが魅力的で、日本だけではなく外国人からも人気があります。
色は、白一色、黒一色、縞模様、白地に黒ぶちや茶ぶち、白・茶・黒の三色など、実に様々。
縞模様の日本猫はトラネコ、三色の日本猫は三毛猫と呼ばれています。
外国原産の猫も可愛らしいですが、日本猫には日本猫にしかない良さがあります。
現在日本猫を飼育している、あるいは飼育を検討しているという方は多いのではないでしょうか。
ここでは日本猫に多い病気についてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事をまとめると
日本猫に多い病気やケガは以下の5つ。
- 慢性腎臓病:高齢猫の死亡原因の第1位。
- 膀胱炎:猫の尿路感染症の代表的な病気。
- 胃腸炎:猫は嘔吐や下痢をしやすい動物。
- 外耳炎:猫の耳は外界からの刺激を受けやすい。
- 誤飲:猫は好奇心旺盛で、誤飲しやすい。
要約
日本猫は慢性腎臓病と尿石症に注意が必要です。
特に高齢猫は慢性腎不全を患いやすく、初期からの対策が重要。
飼育時は抜け毛のケアや運動環境の整備が必要でペット保険の加入で、病気やケガに備えることが重要になります。
身体的特徴
まずは、日本猫の身体的特徴についてご紹介します。
身体的特徴や性格を理解したうえで飼育を行うことで、病気になるリスクを低減することができますよ。
抜け毛が多くなるのは春と秋
短毛の日本猫ですが、被毛が生え変わる春と秋には抜け毛が多くなります。
日頃のお手入れは非常に楽な日本猫ですが、抜け毛が多い時期にはお手入れが必要だといえるでしょう。
プライドが高くマイペース
日本猫は、プライドが高くマイペースな性格だと言われています。
そのため、無理に構おうとするとストレスを抱えてしまうかもしれません。
自分から甘えてきたときに、たっぷりと甘えさせてあげましょう。
遺伝性疾患
日本猫には、特有の遺伝性疾患は特にありません。
とても健康なため、安心して飼育することができます。とはいえ、病気になることが全くないわけではありません。
ここでは、特に注意したい病気をご紹介します。
慢性腎臓病
猫は腎臓病を患いやすい動物であり、慢性腎臓病は高齢の猫の死亡理由の第1位となっています。
15歳以上の猫は80%以上が慢性腎不全を患っていると言われており、日本猫に限らず、どの猫種においても恒例になったら慢性腎臓病に注意しなければいけません。
慢性腎臓病になると、腎臓の機能が少しずつ低下していき、血液の老廃物をろ過して尿を作ることができなくなります。
そうすると身体の中に溜まった毒素を排出することができず、様々な障害を引き起こします。最終的には尿毒症を発症し、死に至ることもあります。
一度壊れた腎臓の組織をもとに戻すことはできないため、慢性腎不全を根本的に治す治療方法はありません。
治療では、病気の進行を遅らせるための処置が中心になります。
猫にとって非常に怖い慢性腎臓病ですが、初期から食事療法や投薬によって進行を遅らせることができれば、完治は無理でも十分に長生きすることができます。
なお、早期発見のためには日頃からおしっこの量や臭いをチェックすることが大切です。
異変を感じたら、すぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。
尿石症
尿結石は、腎臓や尿管、尿道、膀胱などで結石が生じる病気です。
猫の場合は、おしっこがアルカリ性に傾いたときにできやすいストルトバイト結石と、おしっこが酸性に傾いたときにできやすいシュウ酸カルシウム結石が主だといえます。慢性腎臓病と同様に、
すべての猫がかかりやすい病気だといえるでしょう。
尿結石を予防するためには、普段から健康的な生活を送ることが大切です。
フードは、マグネシウム、カルシウム、リンなどが多く含有されているものは避けるようにしましょう。
おしっこのpHバランスを意識してフードを選ぶことも大切です。
また、水分を十分に摂取させることでおしっこが薄まり、結石ができにくくなります。
常にきれいな水が飲めるように準備をしておくといいでしょう。
さらに、室内飼いの猫は運動不足になってしまいがちです。キャットタワーを置く、家具を並び替えるなどして、自由に運動できる環境を整えましょう。
そして、定期的に検査を行うことも重要です。動物病院の定期検査は、忘れずに連れていくようにしてください。
膀胱炎
膀胱炎は、猫がかかりやすい病気として上位に入ります。
命にかかわる病気ではないとつい軽く考えてしまいがちですが、膀胱炎がきっかけで急性腎不全を起こすケースもあるので油断はできません。
人間の膀胱炎と猫の膀胱炎で大きく違うのは、猫の場合はオスのほうが膀胱炎になりやすいということです。
これは猫のオスの尿道が非常に細く、尿中にできた膿や血餅が尿道に詰まってしまう可能性が高いためです。
膀胱炎の原因としては、細菌感染や結晶・結石などがありますが、原因が特定できない場合も少なくありません。
治療法には点滴やカテーテルを挿入しての閉塞解除などがあり、細菌感染が原因の場合は投薬が行われます。
また、結石が原因の場合には療法食で対応するか、外科的に摘出します。
膀胱炎を予防するためには、日頃与えているフードを見直すことが大切です。
また、陰部が汚れていたら拭き取るなどして陰部を清潔に保ってあげてください。
肥満
肥満になると色々な病気のリスクが上がるのは、人間も猫も同じことです。
猫をダイエットさせるのは大変なので、子猫のうちから太らない生活習慣を身に着けさせるようにしましょう。
また、小まめに体重のチェックをすることも大切です。
日本猫の場合、オス猫の平均体重は4.5~5.5㎏、メス猫は3.5~4.5㎏です。
そして、平均体重の120%の体重だとやや肥満、140%だと肥満となります。
体重を測るのが難しい場合は、見た目だけでもチェックしてください。
チェックするポイントは、肋骨に触れられるか、上から見たときに膨らんでいないか、腰がややくびれているかなど。
もし太ってきたと感じたら、食生活や運動習慣を見直してみてください。
飼育時に気をつけたいポイント
愛猫が病気になったときに治療するのが大切なのはもちろんのことですが、普段から病気の予防を心掛けることはもっと重要です。
ここでは、日本猫を飼育するときに気を付けたいことについてご紹介します。
飼育時に気をつける事
まずは、日本猫を飼育するときの基本的な注意点についてみていきましょう。
春と秋はブラッシングを
春と秋は抜け毛が多くなるので、ブラッシングをしてあげましょう。
短毛なので、それほど時間はかかりません。
なお、秋と冬はグルーミングのみで十分なので、必ずしも飼い主がブラッシングをする必要はありません。
他人に無理に触らせない
心を開いた飼い主に対しては愛情深い日本猫ですが、他人に対しては警戒心を持つ場合があります。
他人に無理に触られるとストレスになってしまう可能性があるので、無理に触らせることはしないようにしてください。
むやみに叱らない
基本的に頭の良い日本猫ですが、叱られたらその行動をやめるということはあまりありません。
むやみに叱ることは避け、ダメなことはできないような環境を整えるようにしましょう。
生活面の注意点
ここでは、運動量や食事などに関する注意点についてご紹介します。
フードを与えすぎない
もともとずんぐり体型の日本猫ですが、フードを与えすぎるとすぐに太ってしまうことがあります。
栄養バランスの良いキャットフードを適量与え、肥満を防ぐようにしましょう。
運動をできる環境を整える
全体として平均寿命が長いと言われる日本猫ですが、室内飼いの場合は運動不足になりがちなので注意が必要です。
遊びたいときに自由に遊べる環境を整えてあげてください。
かかりやすい病気・ケガ・治療費用
ここでは、日本猫がかかりやすい慢性腎不全と尿結石の主な症状、治療費用の目安についてまとめました。
日本猫が入れるペット保険を比較する
かかりやすい病気 |
主な症状 |
治療費用 |
慢性腎不全 |
・水をたくさん飲む
・体重が減る
・食欲が低下する
・おしっこが薄くなる
・活動的ではなくなる
・嘔吐が多くなる
・口臭がする
・便秘になる
・被毛に艶がなくなる |
12,000円 |
尿石症 |
・トイレに行く回数が増える
・おしっこが少ししか出ない
・おしっこをするときに痛がる
・血尿が出る
・おしっこが濁る
・粗相をする
・落ち着きがなくなる |
45,000円 |
年齢別の注意点
なりやすい病気は、年齢によってもことなります。
愛猫の年齢でどのような病気になりやすいのかを把握しておくと、正しい対策が取りやすいといえるでしょう。
子猫~成猫
多くの病気は加齢によってリスクが上がりますが、尿結石は子猫でもなることがあるので要注意です。
まだ若いからと油断することなく、子猫のうちから健康的な生活を心掛けましょう。
成猫~
老猫にとって一番気を付けなければいけないのは、やはり腎不全です。
ある程度高齢になったら、いつでも慢性腎不全になる可能性があると頭に入れておくようにしましょう。
保険の選び方
ここでご紹介したように、日本猫は様々な病気になるリスクを抱えており、治療することになった場合にはかなりの費用がかかります。しかし、ペット保険に加入していれば万が一のときも安心です。ここでは、ペット保険を選ぶときのポイントをご紹介します。
保険選びのポイント
ペット保険を選ぶときにまず重視したいのは、補償内容です。
猫種や年齢、現在の健康状態などによって、かかりやすい病気やリスクの高さは異なります。
愛猫がどのような病気になりやすいかを把握したうえで、それらの病気をカバーしているペット保険を選ぶといいでしょう。
また、優先順位をはっきりさせておくことも大切です。
ペット保険には色々な種類があり、それぞれ補償範囲や補償割合、保険料、更新年齢の制限、支払限度日数、特約、付帯サービスなどが異なります。
始めに優先順位をはっきりさせたうえで各ペット保険を比較し、どれに加入するかを決めるようにしてください。
保険料、補償内容の比較表