13周年

ペット保険の
保険料と貯金、
どっちが良い?

ペット保険の保険料と貯金、どっちが良い?の写真

ペット保険気になるけど、でもそんなに通院なんてしないだろうし、貯金した方がいいのでは? と考える方も多いのではないでしょうか。]

実際ペットによってはずっと健康で、病院に掛かることがなかったという方もいらっしゃることでしょう。

一方で中には病を患い、定期的に通院が必要になるペットもいます。 そんな時、本当に貯金だけで診療費をまかなうことができるのでしょうか?

ペットの診療費は想像している以上に人と比べて高額になります。

なぜかというと人とは異なり、通常は保険がなく、治療費の全額を支払う必要があるからです。

また、人とは違い言葉を話すことができないため、検査などで病気を特定することが多く、その検査費用は高額になることがほとんどです。

見てわかる病気であれば検査がない場合もありますが、原因が分からない場合は大抵なんらかの検査を行うことになります。

こういったペットの不調時の診療費が本当に貯金だけでまかなえるのか、ペット保険料と比較をしてみました。 ぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事をまとめると

この記事は、ペット保険と貯金のどちらがペットの医療費に適しているかを比較しています。

ペット保険のメリットとデメリットは以下の通りです。

  • メリット:高額な医療費の補助、安心感、包括的なカバー。
  • デメリット:月額保険料がかかる、補償されない条件がある。

貯金のメリットとデメリットは以下の通りです。

  • メリット:自由な使い道がある、条件なし、保険料節約。
  • デメリット:高額費用のリスク、貯金の規律が必要、予測不能な出費。

要約

ペット保険と貯金、どちらが良いかは、飼い主の状況や考え方によって異なります。
経済的な余裕があり、高額な医療費に備えられる場合は、ペット保険に加入するのがおすすめです。また、保険料を払う余裕がない場合は、貯金をしておくのも一つの方法です。
どちらにしても、ペットの健康のために、定期的な健康診断や予防接種は必ず受けるようにしましょう。

ペット保険はお得?
実際費用面はどうなのか?

ペット保険に加入はしたいけれど、実際にペット保険には加入した方がお得なのか気になる方も多いのではないでしょうか。

実際ペット保険で補償される病気の保険金と、ペットのための貯金、どちらがお得なのか比較してみました。

ペット貯金した場合と、保険金の比較

例えばですが、月に1万円の貯金を3年間行った場合と、月2,000円の保険料を3年間支払った場合、実際に病気やケガをしたらいくら差額が発生するのか調べてみました。

骨折した場合の貯金と保険金の比較

今回はトイプードルなどの犬種に多い、骨折をした場合に補償される金額と比較してみます。

貯金した場合 保険料
(70%プランの場合)
月1万円×3年間
合計360,000
月3000円×3年間
合計108,000
骨折にかかる診察料 通院・入院・手術
合わせて約250,000
骨折に掛かる診察料の全額を負担
合計250,000
骨折にかかる診察料のうち、
30%を自己負担
合計75,000
負担額合計
250,000
保険料108,000円 + 診察料75,000

負担額合計183,000

貯金した場合に比べて、ペット保険に加入し保険料を支払った場合のほうが結果的には安くなる可能性が高い

病気・ケガはどのくらいかかるのか?

ペット保険に加入したほうが結果的にはお得になるとはいえ、そんなに病気やケガにならなければやっぱり損をするので?と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん健康が一番ですが、大なり小なり不測の事態は起こり得るものです。

人で考えてみても分かりますが、全く病気やケガ押せずに天寿を全うできる可能性は少ないでしょう。

それではどの年齢の時にどんな病気・ケガになりやすいのか、どの病気・ケガにかかったらどれくらいの費用がかかるのかご紹介します。

幼少期

幼少期はまだ身体が小さく抵抗力が弱いため、様々な病気になる可能性があります。

特に小さいうちは少しの病気で体調を大きく崩すこともあるため、早めの通院が重要です。

また、やんちゃな時期なので、ケガや誤飲なども多く、費用が高くなる傾向にあります。

嘔吐 診察料・検査代・処方薬など 約20,000
皮膚病
(皮膚炎や湿疹など)
診察料・検査代・処方薬など含め、複数回通院 約20,000円~約50,000
異物誤飲 診察料・検査代・手術代など含め 約50,000円~約100,000
骨折 診察料・検査代・入院費・手術代など含め 約250,000円~約300,000

成熟期

成熟期は比較的慢性的な病気などにかかりやすい時期です。

また、飼い主さんの気のゆるみからこの時期も異物の誤飲などが発生しやすい傾向にあります。

胃腸炎 診察料・入院費・検査費用など含め、複数回通院 約70,000円~約100,000
アレルギー性皮膚炎 診察料・処方薬など含め、複数回通院約30,000円~約50,000
中耳炎 診察料・処方薬など含む 約20,000円~約30,000
椎間板ヘルニア 診察料・検査費用・入院費・手術代含め、複数回通院 約250,000円~約300,000

高齢期

高齢期になるとガンなどの悪性腫瘍や肉芽腫、歯周病、白内障などの病気にかかりやすくなる傾向にあります。

治療が比較的高額で、長く通院する必要がある病気が多くなるため、注意が必要です。

悪性腫瘍 診察料・検査費用・手術費用などを含め、継続的に長期にわたって通院の必要あり 約400,000円~
肉芽腫 診察料・検査費用・手術費用などを含め、数ヶ月間複数回にわたって通院の必要あり 約160,000円~約200,000
歯周病 診察料・検査費用・全身麻酔での処置の必要あり 約100,000
白内障 診察料・検査費用・手術費用等を含め 1眼あたり約200,000円~約250,000

ペット保険の加入率

数年前まではペット保険の存在自体を知らない人がほとんどでしたが、近年になりペットの飼育頭数が増えるにつれ、ペット保険に加入する人も多くなってきました。

また、大手有名保険会社からペット保険が提供され始め、その認知度は年々高まってきています。

その分加入する割合も増えてきていますが、まだまだ加入率は低いのが現状です。

日本の加入率の低さ

日本のペット保険の加入率は10%を切っています。

これは欧米諸国などと比較すると大幅に低く、日本のペットの健康に対する意識の低さを物語っています。

欧米諸国では「ペットは家族」という意識が根強く、保険の加入率も高いところでは50%以上もあります。

近年は日本でも「ペットは家族」という意識が高まってきており、諸外国に比べると圧倒的に低いペット保険への加入率も上がってきています。

ペット保険への関心度

日本でもペット保険への関心はかなり高まってきています。

ペット保険に関心がある人は全体の約70%にも及びます。

その中でも加入を迷っている人は約50%程度です。半数の方はペット保険に加入するべきか悩んでいるのです。

年々日本でもペット保険への認知度が上がるにつれて加入者や検討している人の割合は増加しています。

ペット保険が提供を開始した当初に比べると、補償内容も充実し、それぞれに合ったプランなども提供できるようになっているため、加入しやすくなっています。

実際にペット保険に
加入していて、
ホッとした事

私自身ペット保険に入っていますが、何度もペット保険に加入していて良かったと感じることがありました。

通常動物病院がお休みの時に、ペットのトイプードルが異物を誤飲をしてしまったのです。

異物誤飲の場合、すぐに処置をしなければ症状が悪化し、最悪の場合死に至ることもある怖いケガの1つです。

物誤飲で時間外診療、高額費用に驚き

動物病院がやっていない時間帯でしたが、時間外診療で、レントゲンやエコー検査等を行ってもらい、嘔吐の処置をしてもらうことで事なきを得ることができました。

時間外診療の場合、通常よりも料金が高くなります。

もしペット保険に入っていなければ動物病院が開始する朝まで待ってから通院をしていたかもしれません。

その場合、ペット自身も苦痛な時間が長く続きますし、最悪の場合手遅れになってしまっていたでしょう。

また、その時の診療費もペット保険に加入していなければ、急遽30,000円もの出費になるところだったのです。

私は70%補償されるプランに入っていたため、9000円程度の出費に抑えることができました。

慢性膵炎で何度も検査・通院

この異物誤飲以外にも慢性膵炎での通院もありました。

慢性膵炎と分かるまでに何度も通院・検査を繰り返し、ペット保険がなければ1回の通院で毎回2万円近くも支払わないといけなくなるところでした。

実際は6000円程度の支払でしたが、3日おきに通院していたため、もしペット保険に入っていなければ相当の出費になっていたと思います。

今でも1年のうち必ず3回以上は動物病院にお世話になっています。

もしペット保険に加入していなければ、何度も高額の費用を払って通院することになり、後悔することになっていたでしょう。

今ではペット保険に加入していて本当に良かったと感じています。

私が加入しているペット保険は年齢によって保険料が上がるタイプのものですが、保険料が上がったとしてもペット保険の加入をやめるということはないでしょう。

ペット保険のカバーは
お金だけではない

ペット保険は動物病院での治療費のみ補償してくれるものだと思いがちですが、実は様々なサービスがあります。

治療費だけではなく獣医師への相談サービスや、ペットの写真付きの可愛い保険証を送ってくれたりなど、その他様々なオプションがついている保険が多いです。

ペット保険は病気への補償だけではなく、様々なサービスもついていますので、「動物病院には行かないから」といって嫌煙するのではなく、その他のサービスに付随するお守りとしてペット保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

ペット保険はいらない?

最近「ペット保険は入る必要がない」という情報を目にします。
その理由は「自分で備えをしっかりすればペット保険は不要で、ペット保険に加入することでかえって出費が多くなるから」という内容です。

しかし実際は、「ペット保険は入った方がいいでしょうか」という飼い主様からのご質問には、わたしをはじめ勤務先の獣医師も「入った方がいいですよ」とお答えしています。

さらに、「ペット保険に入っていてよかった」「ペット保険に入っていると安心」という飼い主様のお話を聞く機会が非常に多いという実状があります。

ペット保険の加入を
おすすめする理由

ペット保険の加入をおすすめする一番の理由は、ペットの病気やケガは全く予想ができないからです。
さらに、わたしたちが公的な健康保険制度を利用し安心して医療機関を受診できるのと同様に、ペット保険に加入することで安心してペットを動物病院に連れていけることやペットの治療費の自己負担が減らせるというメリットもあります。

ペットの病気やケガは突然やってくる!

年齢を重ねるにつれてペットが病気になる可能性は増えていきますが、若くて元気なペットでも、突然ケガをする可能性や病気になる可能性があります。
そして、これは全く予想ができません。

実際にあった例を挙げると、
・脱走した猫が無事に戻ってきたものの、元気がないため病院に連れていったら膀胱が破れていた
・大型犬が毎朝必ず吐くので検査と処置をしたところ、半年前に遊んでいて無くなったおもちゃが胃の中に残っていた
というケースなどがありました。

この様に若くて元気なペットでも思わぬトラブルが起こる可能性があります。

動物病院での治療費の自己負担が減る

ペットには公的な健康保険制度はありません。そのため、動物病院での治療費は全額自己負担です。
さらに、同じ治療を行っても一律の治療費ではなく動物病院によって治療費が異なります。

ペットのケガや病気に対する不安にプラスして、高額になりがちな動物病院の治療費の負担は、飼い主様にとっては相当なプレッシャーになると考えられます。

この不安やプレッシャーを、少しでも軽くする方法の1つがペット保険です。
ペット保険に加入し、ご自身で積み立てる代わりに保険会社に保険料を支払うことで、治療費の一部を保険会社に補償してもらえます。

なお、補償の割合は加入するプランやペット保険会社によって異なります。

ペット保険で多い後悔や
トラブルは?

このようにペット保険に加入することで得られるメリットは多くありますが、その反面「こんなはずではなかったのに」というお話や、補償の対象外で保険料が支払われなかったなどのトラブルも存在します。
ここでは、ペット保険で多い「こんなはずではなかった」という内容やトラブル4つについて解説します。

ペット保険に関する主な後悔やトラブルは以下の4つです。
・病気の補償の対象外で保険料が支払われなかった
・保険料が年々上がってしまい、支払いが大変になった
・ある程度の年齢になったら加入していた保険を継続出来なくなった
・保険の内容をよく知らず、予想していたよりも補償額が少なかった

病気の補償の対象外で保険料が支払われなかった

ペット保険に加入する際には、年齢や健康状態による加入条件があります。
また、ペット保険に加入する前に発症した疾患については補償の対象外なので注意が必要です。

具体的な例をあげると、「検査で腎臓が悪いことが分かったのでペット保険に加入し、その後の腎臓に関わる治療費の補償をしてもらう」ということはできません。
さらに、先天性疾患についても補償の対象外になる場合があるので加入する際には内容をよく調べる必要があります。(ただし、膝蓋骨脱臼については補償する保険会社もあります)

また、ペット保険は基本的に病気やケガに備える目的のものなので、不妊手術やワクチンなどの病気の予防については補償の対象外です。

保険料が年々上がってしまい、支払いが大変になった

ペット保険は、加入してから終身までずっと同じ金額の保険料ではありません。
保険会社やプランによって異なりますが、定期的に保険料の見直しがあり、一般的には保険料は高くなっていきます。

保険料の見直しのタイミングは、年齢の上昇と共に保険料が毎年上がる、各年齢の区分ごとの保険料の設定がある、ある程度の年齢になると保険料が一定になり変わらない、保険の利用状況によって保険料の見直しがあるなど様々です。
加入時には安い保険料でも更新の度に保険料が上がるプランもあるので、保険料の見直しや保険を使った際の保険料について確認しておくと安心です。

ある程度の年齢になったら加入していた保険を継続出来なくなった

シニアになって本当に保険が必要な時期に加入していた保険を継続できなくなり、さらに他のペット保険会社にも年齢制限により加入できない、というケースがあります。
保険会社やプランによって異なりますが、ある程度の年齢になるとペット保険を継続・加入できない場合があるので注意が必要です。

一般的には年齢を重ねるほどペット保険の加入は難しくなりますが、シニア用のペット保険や若い頃から継続して加入し続けていれば終身続けられる保険もあります。

保険の内容をよく知らず、予想していたよりも補償額が少なかった

ペット保険のプランは、通院治療のみ補償する、通院治療と手術・入院治療を補償する、手術のみ補償が可能などの補償内容の設定や、保険会社が治療費を補償する割合、更に 補償限度額・限度回数(日数)、免責金額(保険会社ではなく保険の契約者が負担する金額)の設定など様々な設定があります。

手術をしたので保険請求をしようとしたら手術は補償の対象外のプランに加入していた、補償限度日数があることに気づかずに保険を使いすぎてしまった、などご自身のペットが加入している保険の内容を把握していなかったことによるトラブルもよくあるケースです。

ペット保険で後悔しないためには?

上記の様なトラブルにならない様に、そして後悔しないためにはどんな点に注意してペット保険を選ぶ必要があるのでしょうか?
ここでは、加入前に確認しておくべきポイントと、ペット保険の選び方について説明致します。

ペット保険の加入前に確認する5つのポイント

ペット保険に加入する前には以下の5つを確認しましょう。
●加入条件(年齢、健康状態)
●何歳まで継続できる保険か
●保険料の見直しのタイミングや金額の設定方法
●補償内容(先天性疾患などの補償の有無など)
●限度日数(回数・金額)の確認と免責金額の設定の有無

この5つのポイントを確認することで、加入後の後悔やトラブルが回避できます。

保険料の安さだけで決めて必要な時にペット保険が使えない、ということのないようにしっかり確認した上でペット保険を選びましょう。

ペット保険の選び方

「通院は自己負担で支払って高額になると思われる手術に特化したペット保険がよい」「通院と手術の両方の自己負担を軽くしたい」「保険料をなるべく抑えたい」などペット保険に求める内容は人によって異なります。
ご自身とペットに合ったペット保険を選ぶコツは、上記の5つのポイントを確認しつつ、複数のペット保険会社や加入プランの情報を比較検討することです。

また、一般的に補償内容が多ければ多いほど、ペット保険会社に支払う保険料は高くなるので、補償内容と保険料のバランスも考慮する必要があります。

さらに、保険を使用した際の手続きが簡単で分かりやすいこともペット保険を選ぶ上では重要なポイントの1つです。

ペット保険の選び方

ペット保険を選ぶ際にはまずどの病気を補償してくれるのか確認をしましょう。

ペット保険会社によって補償内容が異なります。加入してから補償対象外と判明することがないように注意をしてください。

また、ペット保険の中には動物病院の窓口で人間と同じように窓口精算できる物があります。

一旦治療費を全額負担する必要がないため、とても便利です。

その他、治療費の何割を補償してくれるのか、補償割合もペット保険会社によって異なりますので、ご自身がどれくらい補償してもらいたいかよく検討するようにしましょう。

この記事の監修者

大熊真穂

大熊真穂

現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
▼ドリトルけいのいぬねこ健康相談室
https://www.dolittlekei.com/
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。