【獣医師監修】ペット保険は先天性疾患でも補償の対象?加入前に知っておくべきことは?

【獣医師監修】ペット保険は先天性疾患でも補償の対象?加入前に知っておくべきことは?

この記事をまとめると

先天性疾患とペット保険の補償範囲や注意点を解説。ポイントは以下の4つ。

  • 加入後に判明なら補償対象になる場合もある
  • 加入前に判明していると補償の対象外になることが多い
  • 告知義務違反は契約解除や保険金が下りない原因になる
  • 条件付きで加入できる保険や治療費の積み立てなどを検討すると安心

要約

先天性疾患はペット保険の加入後に見つかれば補償されることもあるが、加入前から症状があると対象外になる。
正しく申告し補償内容をよく確認することが大切。

保険に入れない場合は、条件付きで入れる保険や治療費の積み立てを検討すると安心である。

そもそも先天性疾患とは?

先天性疾患とは、「生まれつき体の構造や機能に異常が生じている疾患」です。
先天性疾患の原因は様々で、発生過程での異常をはじめ遺伝的な要因や環境要因などが考えられます。

どんな病気が先天性疾患にあたる?

主な先天性疾患の例は、動脈管開存症、心室中隔欠損、肺動脈弁狭窄症などの心臓疾患、水頭症、門脈シャント、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、漏斗胸、潜在精巣などが挙げられます。

遺伝性疾患や慢性疾患との違いは?

特に先天性疾患と混同されやすいのが、遺伝性疾患です。

遺伝性疾患とは、「染色体や遺伝子などの遺伝情報の異常によっておこる疾患」です。
遺伝性疾患は遺伝情報の異常が原因で起こるため、様々な原因で発生する先天性疾患とイコールではありません。
遺伝性疾患の例:進行性網膜萎縮、多発性嚢胞腎、変性性脊髄症、骨軟骨異形成症など

慢性疾患とは「病気の経過が長く、長期にわたる治療や管理が必要でなかなか治らない、もしくは完治が難しい疾患」のことをいいます。
慢性疾患の例:慢性腎臓病、糖尿病、アトピー性皮膚炎など

ペット保険で先天性疾患は補償される?

先天性疾患は、ペット保険の補償の対象になる場合とならない場合があります。

どのようなケースが考えられるでしょうか。

補償対象になるケース

保険期間の開始後に判明した先天性疾患の場合は、補償の対象となる場合があります。

例えば保険期間が開始し、「なんとなく歩き方が気になって動物病院を受診したところ、レントゲン検査で股関節形成不全と診断された」というケースや「若い犬なのにすぐに呼吸が荒くなるのが気になって精査をしたら先天性の心疾患が見つかった」というケースが考えられます。

補償対象外になるケースとその理由

ペット保険は、原則として「ケガや病気に備える」という目的のため、保険加入前に発症している病気や既に判明している先天性疾患は補償の対象外となります。

また、潜在精巣は先天性疾患のひとつですが、将来的に腫瘍化する可能性があるのを予防するために去勢手術を行った場合には、ペット保険の補償の対象外です。

ただし、精巣が腫瘍化している可能性がある、前立腺肥大などの症状があるなどで治療の一環として去勢手術を行うケースは、補償の対象となる場合もあります。

保険会社によって異なる対応

実は、先天性疾患についての対応は、保険会社や契約プランによって対応が異なります。
例えば、小型犬に多い膝蓋骨脱臼を例にあげると、補償対象としている保険会社と補償対象外としている保険会社の両方があります。

また、「遺伝性疾患はいかなる場合も補償の対象外とする」というペット保険もあります。
ペット保険を選ぶ際には、補償対象になる疾患をよく確認しておきましょう。

先天性疾患のある子におすすめのペット保険とは?

補償対象が広い保険会社の特徴

前述したとおり、保険会社や契約プランによって補償対象が異なるため、ペット保険に加入する際には情報を集めて比較検討する必要があります。
先天性疾患のある子におすすめのペット保険は、補償対象が広いペット保険です。

補償対象が広いペット保険の特徴は、

  • ・契約者数が多い
  • ・年齢制限がなく加入できる、生涯にわたって保険が継続できるなど、年齢を重ねてからも補償が充実している
  • ・契約時や更新時の条件が明確にわかりやすく記載されている
  • ・ペット保険以外にしつけや病気についての相談窓口がある等、細かいケアが充実している

などが挙げられます。

加入前に確認すべき告知内容と注意点

「告知」とは、保険加入前に保険の対象となるペットの健康状態や過去の病歴を保険会社に伝えることです。

ペット保険は、不妊去勢手術、ワクチン接種やフィラリア予防など予防に関するものや、保険加入以前にかかっていた病気やケガについては補償の対象外です。
加入前に先天性疾患が判明しているのにも関わらず、意図的に隠して保険に加入してその事実が発覚した場合、「告知義務違反」となり契約が解除されたり、保険金の支払いがされなかったりする可能性があります。

「黙っていればわからないだろう」と思って契約しても、保険請求の際にペット保険会社から動物病院に詳細な内容についての説明を求められるため、「加入時に事実と異なった情報提供をした」ということが簡単にわかってしまいます。
このような将来的なトラブルを避けるためにも、加入時に先天性疾患が判明している場合は、正確にその情報を伝えましょう。

また、先天性疾患のうち遺伝性疾患について補償の対象になるかどうかを確認しておくとよいでしょう。

ほとんどのペット保険は、1年ごとに更新の手続きが必要です。
現在契約中の保険期間では補償対象であっても、先天性疾患が判明したあとの更新後からは補償の対象外になるケースもあるため、更新後の対応についても確認しておきましょう。

ペット保険による補償は無制限ではなく、上限(支払限度額または支払限度日数・回数)がある、加入や更新の際に年齢の制限などの条件があり、さらに定期的に保険料の見直しがあります。
保険料の見直しのタイミング、保険を使用したら保険料が上がるかどうか、何歳まで継続できるのかなどの条件についても確認しておくとより安心です。

保険に入れなかった場合の選択肢

先天性疾患が原因でペット保険に入れなかった場合の選択肢としては、

  • ・条件付きで入れるペット保険を検討する
  • ・自己負担に備えて治療費の備えをする

という2つの方法があります。

条件付きで入れる保険を検討する

先天性疾患などの病歴がある場合、それらを補償の対象外とするという条件付きでペット保険に加入できるケースもあります。

これらは、「特定疾病不担保」「特定傷病除外特約」などと呼ばれています。
このような条件付きで入れるペット保険は、先天性疾患や先天性疾患が原因となる病気については補償が受けられないものの、条件がついても保険料は変わらないというのが一般的です。

ただし、加入できない疾患もあるので、内容をよく確認する必要があります。

自己負担に備えて治療費の備えをする

ペットには、人間の健康保険の様な公的な保証制度はありません。そのため、動物病院を受診した際に支払うペットの医療費は、すべて飼い主の自己負担です。
状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になることも考えられ、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。

ペット保険に入れなかった場合は、ご自身が安心してペットとの生活を楽しめるように、万が一に備えて治療費を積み立てておくなどの準備をしておきましょう。

【獣医師のアドバイス】先天性疾患と向き合うために知っておきたいこと

わたしの勤務先で実際にあったケースでは、去勢手術の術前検査で肝機能の異常が見つかり、先天性の門脈シャントが疑われたという若いチワワの症例がありました。
精査の結果門脈シャントではなかったのですが、初めて犬を飼うという若いご夫婦で「ペット保険に入っていてよかった」とホッとされていたのを覚えています。

精査のためにある程度の費用はかかりましたが、上記のケースで手術が必要になった場合は、かなりの高額になる可能性があります。
ペット保険は、このように予想もしなかった事態に備えておくための選択肢の一つとして有効だといえるでしょう。

なお、ペット販売業者は「健康な状態で購入者にお渡しする」という義務があるため、購入時の契約内容によっては、先天性疾患についての検査や治療にかかった費用を一部負担してもらえるケースもあります。

ペットをお迎えする際には「命を預かる」という気持ちで、万が一の時のためにも契約書の内容をよく確認しておきましょう。

長生きで健康に過ごすためにできることは?

先天性疾患の有無にかかわらず、ペットが長生きかつ健康に過ごすためには、以下の7つのポイントが大切です。

  • ・食事管理
  • ・年齢や性格に合った運動・遊びでストレスを解消する
  • ・太らせない
  • ・デンタルケアを習慣にする
  • ・普段からペットの様子をよく観察する
  • ・定期的に健康診断を受ける
  • ・感染症や寄生虫の予防対策を行う

食事管理

ライフステージに合わせた総合栄養食を与え、必要な栄養が摂れるように気を配ると同時に、添加物や脂肪分が多い加工品のおやつを与えない様にしましょう。

手作り食はメリットも多いのですが、その反面自己流のレシピでは栄養が偏りやすいというデメリットがあります。
そのため手作り食100%にする場合には、動物栄養学を学んでから実践することをお勧めします。

また、ドライフードは酸化しやすいため開封したら密封容器に入れる、割高でも開封したらなるべく早く食べきれる量のものを買うなど、保存方法にも注意しましょう。

年齢や性格に合った運動・遊びでストレスを解消する

年齢や体力に合わせた適度な運動や遊びは、愛犬・愛猫の心身の健康を維持するのに役立ちます。

季節を問わず楽しく遊べるような工夫をすると同時に、落ち着いて一人でもゆったりと過ごせる場所や時間を作ってあげましょう。

太らせない

ペットの犬猫の半分以上が肥満・過体重であるというデータがあります。
肥満は、関節疾患をはじめ、糖尿病や下部尿路疾患などの厄介な病気のリスクを高めます。

一日に与える量の食事やおやつを量っておいてその中から与える、などの肥満防止対策をして体重管理を心がけましょう。

デンタルケアを習慣にする

歯周病は、単に口の中が汚い、口臭がするという口腔内の問題だけにとどまらず全身に影響を及ぼす感染症と言っても過言ではありません。
実際に歯周病菌は心疾患や内臓疾患の原因になることが知られています。

わたしの勤務先でも、ひどい歯周病の犬を全身麻酔で歯科処置をして肝機能が改善したケースや、歯が痛くて食事を満足に食べられなかった猫が、歯科処置後に体重が増えて毛並みが良くなり元気になった、という例が数えきれないくらいあります。

急にデンタルケアを始めようとしても嫌がってうまくいかないケースが多いため、子犬・子猫の頃から歯のケアを始めて習慣にすることを強くおすすめします。

普段からペットの様子をよく観察する

食欲の有無、排便・排尿の様子、呼吸状態、姿勢など、普段からペットの様子をよく観察することは病気の早期発見につながります。

普段と違うと気づいた際には、早めに動物病院を受診する習慣をつけましょう。

定期的に健康診断を受ける

健康的な生活を送るためには、定期的な健康チェックは必須です。

万が一病気になっても、早期発見と早期治療で病気と上手くつきあって生活の質を高め、回復できる場合や少しでも寿命を長くできる可能性があります。
犬や猫は、人間の4倍~7倍のスピードで歳を取ります。

最低でも年に1回は血液検査・尿検査などの健康診断を受けましょう。

感染症や寄生虫の予防対策を行う

感染症やフィラリア・ノミ・マダニ等の寄生虫予防などの、予防できる対策はしっかり行いましょう。

なお、ワクチン接種のプログラムや持病がある場合のワクチン接種については、各病院によって対応が分かれます。
かかりつけの動物病院で相談のうえ予防対策を行いましょう。
参考:世界小動物獣医師会 犬と猫のワクチネーションガイドライン
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf

まとめ|先天性疾患に対応できる保険の選び方

「ペット保険に加入したのにいざ保険の申請をしたら補償の対象外だった」という残念な結果にならないようにするためには、情報を集めることと告知や加入条件等をしっかり確認することが大切です。

補償内容をよく比較することが大切

ペット保険会社は、現在10社以上あり契約プランも様々です。
保険料だけで判断せずに情報を集めて補償内容を比較検討し、ご自身とペットに合ったプランを選びましょう。

告知や加入条件をしっかり確認しよう

先天性疾患についての補償は、ペット保険会社やプランによって対応が異なります。
告知や加入条件を確認して不明な点は問い合わせをするなど、加入後に後悔しないようにしておきましょう。

この記事の監修者

大熊真穂

大熊真穂

現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
▼ドリトルけいのいぬねこ健康相談室
https://www.dolittlekei.com/
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。

取扱い保険会社・少額短期保険業者一覧

ご注意)当サイトは各社ペット保険の概要を説明しています。
ご契約の際は引受保険会社のパンフレット、webサイト等で商品資料をご確認の上、お申込みください。
また、重要事項等の説明もあわせてご確認くださるようお願い申し上げます。
取扱代理店
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