結膜炎は、結膜そのものの問題だけではなく、目や全身の状態を反映する病気につながっている可能性があります。
また、放置すると犬自身が目をこすって悪化させ、治るのに時間がかかる上に最悪の場合は、角膜表面に穴が開いて外科手術が必要になることがあります。
大切なペットの健康を守るためには、気になる症状をそのままにしないですぐに動物病院を受診することが大切です。
そして、動物病院を受診するハードルを下げてくれるものの一つにペット保険があります。
動物病院での治療費は、100%自己負担です。
怪我や病気など、何かあった時にペット保険に加入していれば、病院での自己負担額を減らすことができ、安心して治療を受けることができます。
この記事では、犬の結膜炎の原因や症状などについての情報と、ペット保険の必要性についてまとめました。
ペット保険を比較する
この記事をまとめると
犬の結膜炎は、ペット保険の加入条件によって異なりますが、補償対象となる場合がある。
補償対象となるかどうかは、以下の条件によって判断される。
- 保険会社やプランによって定められた原因による結膜炎
- 補償開始後に発症した結膜炎
- 軽度な結膜炎
要約
犬の結膜炎は、アレルギーや細菌感染、ウイルス感染など、さまざまな原因で起こる病気です。
ペット保険に加入していれば、結膜炎の治療費を補償してもらえる場合があります。加入する際には、補償対象となる結膜炎の範囲をよく確認しておきましょう。
結膜は、眼瞼(まぶた)の内面から眼球の表面を覆う連続した薄い膜の組織で、目の保護器官の役割を担っています。
結膜炎とは、外傷や細菌感染・ウイルス・寄生虫の感染、アレルギーなどの全身疾患、薬剤による過敏症などが原因で結膜に炎症が起こることを言います。
結膜炎の症状
結膜炎の主な症状は
- ・目ヤニや涙がでる
- ・結膜の充血や浮腫が起こる
- ・目の周りが腫れる
- ・前足で目をこする、床に顔をこすりつける
- ・まばたきの回数が多くなる
- ・目を細める
など、見た目でわかりやすい症状です。
原因
結膜炎の原因は細菌、ウイルス、寄生虫などの感染による結膜炎と、アレルギーなどの全身疾患による結膜炎や薬剤による過敏症などがあります。
感染による結膜炎
・細菌性結膜炎
結膜そのものよりも、眼瞼異常や乾性角結膜炎(ドライアイ)が原因で細菌感染が起こる場合が多いと言われています。
また、皮膚炎や外耳炎、副鼻腔炎などが原因で起こる場合もあります。
・ウイルス性結膜炎
ジステンパーウイルスによる二次感染の他、犬ヘルペスウイルスが三叉神経節(頭部・顔面・口腔粘膜・鼻腔粘膜・眼球などの感覚を脳に伝える末梢神経の中の神経細胞の集団のことです)に潜伏感染し、発症する結膜炎が注目されているとの報告があります。
猫ではこのヘルペスウイルスによる結膜炎が多いのが特徴です。
・寄生虫性結膜炎
ショウジョウバエの一種であるメマトイが媒介する線虫が、瞬膜の裏や結膜嚢などに寄生することにより起こる結膜炎です。
九州を中心に西日本に多いといわれますが、関東でもよく見られます。
東洋眼虫症とも言われ、白くて短い糸の様な虫が愛犬の眼の中で動いているのを見て、驚く患者様もいらっしゃいます。
余談ですが、東京都に住んでいるわたしの知人も「うちの犬の目に11匹寄生していました!」と教えてくれたことがあります。
アレルギー性結膜炎
花粉、カビ、ダニなどによるアレルギー反応による結膜炎が起こります。
結膜の症状以外にも、眼瞼(まぶた)浮腫や、目ヤニ、皮膚の赤みやかゆみ、くしゃみなど全身症状を伴う場合が多いのが特徴です。
涙液減少性結膜炎(乾性角結膜炎)
涙の量が不足して目が乾燥することが原因で、結膜や角膜が炎症を起こします。
別名ドライアイともいい、犬では比較的多い目の病気です。
先天性、糖尿病、クッシング症候群など内分泌疾患、顔面神経障害・三叉神経障害など原因は様々です。
薬剤による結膜炎
緑内障治療薬の点眼薬による眼周囲皮膚炎・結膜炎と、抗菌剤の点眼による過敏症が報告されています。
その他
外傷、シャンプーやほこりなどの異物、目の周りの毛などが入って結膜が炎症を起こす場合があります。
違和感から犬が顔をこすって、角膜表面に傷ができてしまうことも少なくありません。
上記の様に、結膜炎の原因は様々です。
感染による結膜炎(細菌・ウイルス・寄生虫)かアレルギー性など全身の問題が原因なのかを調べて、洗眼処置や抗生剤の点眼・内服、ステロイドの投薬などで治療します。
また、エリザベスカラーを装着し、犬自身が目をこすって悪化させないようにする処置も必要です。
結膜炎で受診した場合の一般的な検査は、眼瞼(まぶた)の異常の確認やフルオルテスト(角膜表面の傷の有無を色素で染色してチェックする検査です)、シルマーテスト(涙の量をチェックする検査です)を行い、必要に応じて眼圧の測定を行います。
動物病院の治療費は、各々の動物病院で独自に設定しているため、全く同じ点眼薬を使用しても病院によって費用は異なります。
以下の表は、結膜炎の治療内容と治療費の一例をまとめたものです。
結膜炎の場合は何度も診察を受けることが必要な場合が多く、累計すると高額な治療費になることも・・・。
悪化させないように、早めに動物病院の診察を受けることが一番です!
治療内容 |
治療費の一例
|
診察料 |
500円~2500円 |
眼科検査
フルオルテスト:角膜の傷のチェック
シルマーテスト:涙の量のチェック
眼圧測定
スリットランプ検査:目の表面に細い光を照射して目の状態を観察する
|
1000円~3000円
1000円~3000円
1000円~3000円
500円~2000円
|
点眼薬 |
1本につき2000円前後 |
洗眼処置等 |
1000円~3000円 |
抗生剤やステロイドなど内服薬の処方 |
一日200円前後×日数分 |
細胞診(結膜・目ヤニ) |
2000円~5000円 |
結膜炎を完全に予防するのは困難です。
しかし、細菌や寄生虫の感染を防ぐという意味では、
お散歩後には犬用の目の洗浄点眼薬を点眼することや、目の周りの汚れをまめに拭いて清潔にしておくことが有効だと思います。
ただし、点眼自体をいやがる犬もいるので、なかなか難しいのが現状です。
点眼をうまく行うコツは、鼻側から目に目薬を近づけるのではなく、犬の頭の後ろ側から見えない様に目薬を近づけて点眼すると犬に恐怖心を与えずに済みます。
また、かゆみや炎症の原因になることがあるので、目の周りについた余分な点眼液をコットンなどで軽く押さえて拭いておきましょう。
点眼に限らず、顔周りや身体を触って色々なケアができるようにスキンシップを行うことも、愛犬の健康を守ることに繋がります。
普段から少しずつ慣らしておくと、何かあった時にストレスなくケアができます。
ぜひ日々の習慣にしてみて下さいね。
ペット保険の加入条件によって異なりますが、犬の結膜炎はペット保険の補償対象になる場合があります。
ただし、ペット保険に加入する前の病気や怪我、先天性の疾患については補償対象外になるので注意が必要です。
また、ペット保険は保険加入後に発生した病気や怪我に対して補償を行うため、保険加入前に発生した病気や怪我はもちろん、「結膜炎の予防のために、動物病院で洗眼処置をした」という予防が目的の治療費や、ワクチン接種、フィラリア・ノミ・マダニの予防薬、避妊・去勢手術などもペット保険の補償の対象外です。
先天性疾患は補償対象外ですが、保険会社によっては先天性疾患であっても補償対象になる場合があるので、どんな病気が補償対象になるかを調べておきましょう。
そして、特に健康上に大きな問題がない若くて元気な犬でも「お散歩に行く前はなんでもなかったのに、帰ってきたら急に眼がショボショボして変です」「シャンプーしたあとに、顔をクッションにこすりつけていたらしく、朝起きたら涙が多くて目が開かなくなりました」などペットの病気や怪我などのトラブルは突然やってきます。
普段から何かあった時の備えが万全であれば安心ですが、なかなかそうはいかないのが現実ではないでしょうか。
ペット保険に加入することで、ペットの急な体調の変化があっても、安心して診察を受けることができ、更に必要な治療の選択肢が広がるというメリットもあります。
ペットの治療費は人間の様な公的な保証制度がないため、動物病院での治療費は100%自己負担です。
先ほどの目のトラブル「何でもなかったのに、お散歩から帰ってきたら急に眼がショボショボする」を例に挙げてみましょう。
「診察と眼科検査、洗眼処置、そして点眼薬の処方」というのが一般的な診察と治療内容で、この場合、最も治療費がかからない場合でも6000円の治療費が必要です。
しかし、ペット保険で補償される場合は6000円のうち3割~7割を保険会社が補償してくれるので、自己負担額は1800円~4200円です。
ただし、加入しているペット保険会社によって、動物病院の窓口で清算できる場合とそうでない場合があり、加入しているプランによって補償の割合も異なります。
窓口清算ができるペット保険比較
また、保険会社から保険加入者に対して支払われる補償金額や日数(または回数)には上限があり、補償内容が多ければ多いほど、保険会社に支払う保険料も多くなるのが一般的です。
愛犬が少しでも長く健康に過ごすためには、予防できることはしっかり行い、病気の早期発見と早期治療が大切です。
ペット保険は「安心」を与えてくれるアイテムです。
補償内容や保険会社に支払う保険料を確認し、どんな保険会社やプランを選択するか等、情報を集めてご自身と愛犬にあったペット保険を選択することをお勧め致します。
結膜炎やその他の病気に備えてペット保険を検討する方へ「ペット保険比較表」はこちら。
ペット保険を比較する