パピヨンに多い病気やケガは?
パピヨンに多い病気やケガは?

この記事をまとめると
パピヨンに多い病気やケガは以下の3つ。
- 水頭症:何らかの原因で脳脊髄液の流れが悪くなり、液が必要な量以上に貯まって脳を圧迫する病気。聴覚障害、視覚障害の症状が出る。
- 膝蓋骨脱臼:膝蓋骨脱臼が特に多い。初期は無症状だが足を引きずる、歩行困難などの症状が出る。
- 白内障:目の中でカメラのレンズのような役割をしている場所「水晶体」が何らかの原因で白濁してしまう病気。視力低下や失明につながる恐れがある。
要約
パピヨンは、小型犬でありながら活発な性格であるため、ケガをしないように注意することも大切である。
定期的な健康診断や、日頃の健康管理を心がけることで、病気の予防に役立つ。
身体的特徴
「パピヨン」とはフランス語で「蝶」を意味する言葉です。その名前のとおり、蝶のような大きな耳を持つパピヨン。
かのマリー・アントワネットも愛したといわれる絹糸のような美しい毛を持つ小型犬です。
運動が大好きでとても活発。甘えん坊な性格も可愛らしいです。
一方でプライドが高く、神経が細やかな一面も持ち合わせています。
賢いゆえに空気を読みすぎて神経質になったり、自身のプライドを傷つける相手には容赦をせず攻撃的になることもあります。
遺伝性疾患
遺伝的疾患とは遺伝子の変異によっておこる病気のことです。犬種によってかかりやすい病気の種類は異なります。ここではパピヨンが発症しやすい遺伝的疾患をご紹介します。
進行性網膜萎縮症(PRA)
網膜とは目から入ってくる光を受け止めて、脳に伝えるスクリーンのような役割をする器官です。
この網膜が徐々に変性し、視力低下が進んでいく病気が進行性網膜萎縮症です。
多くの場合大人になってから発症します。
最初は暗い場所で視力が落ち、やがて明るい場所でも動きが鈍るようになり、数年で全く目が見えなくなってしまいます。
病気の進行スピードを送らせるために点眼やレーザー治療などの処置がとられることがありますが、確実な治療方法はまだ見つかっていません。
できるだけ早期発見をし、進行を遅らせる治療につなげられるようにしましょう。
膝蓋骨脱臼
パピヨンの後ろ足には、膝蓋骨とよばれる皿状の骨があります。
これが正常な位置からずれてしまう病気が膝蓋骨脱臼です。
ケガや栄養障害が原因で後天的に発症することもありますが、小型犬の場合は遺伝的欠陥による先天性脱臼が多くみられます。
初期はほとんど症状がなく、脱臼しても自然と元に戻ります。
しかし症状が進むと異常歩行をするようになり、常に脱臼している状態になります。
先天性脱臼の場合、習慣的に脱臼しては自分で後ろ脚を曲げ伸ばしして治すことを繰り返している犬もいます。
若いうちはいいのですが、そのまま年をとると弱くなった靭帯へ負荷がかかり、切れてしまうこともあります。
体力のある若いうちに病気を発見して、早めに治療できるとよいですね。
またすべりやすい床での運動は膝蓋骨脱臼の症状を悪化させてしまう可能性があるので、室内の運動環境にも気を付けていきましょう。
飼育時に気をつける事
まずは、パピヨンを飼育するときの基本的な注意点についてみていきましょう。
プライドの高いパピヨン、しつけはしっかり行いたい
パピヨンは人懐こい可愛らしい犬ですが、一方でプライドが高く繊細な一面も持っています。
わがままに育ってしまうと権勢症候群(犬が飼い主より立場が上だと解釈して起こす様々な問題行動)に陥ってしまうこともあります。
身勝手な行動を容認し続ければ、無駄吠えや噛みつきなどトラブルが絶えないわがまま犬になってしまう可能性が高いのです。
パピヨンは本来犬の中でもかなり賢く、しつけやすい犬種です。
愛情を持ってしっかりしつけを行うことで、飼い主の指示をよく理解してくれるようになるでしょう。
また怖がりで繊細な性格から、何事にも過敏に反応して吠えてしまうことがあります。
積極的に外出し、たくさんの経験を積ませることで、動じない心を身に着けてもらいましょう。
歯の健康チェックは重要
小型犬のパピヨンはあごのサイズも小さいです。
しかし、あごの小ささの割に歯は大きいため、歯のスキマにゴミが貯まりやすくなっています。
また、水を飲む量や唾液の量が少ないこともあり、パピヨンは歯周病にかかりやすい犬種といわれています。
飼い主が油断していると歯の病気が進行して、若いうちから歯を無くしてしまうこともあります。
歯が悪くなれば連鎖的に食生活が悪化し、健康に影響が出てしまいます。
飼い主が定期的に歯磨きをしてあげるのが理想的ですが、歯磨きを嫌がる子には噛むおもちゃや歯磨きガムなどのデンタルグッズを用いる方法もあります。
また、動物病院やトリミングサロンで歯磨きの仕方を相談して見るのも良いですね。
生活面の注意点
運動大好きのパピヨンには毎日30分の散歩が理想
活発で遊びが大好きなパピヨン。
小型犬なので室内の運動だけでもことたりますが、有り余った体力に任せて遊ばせておくと思いがけないいたずらをしかねません。
出来れば1日30分程度の散歩を習慣にして、外で十分に遊ばせてあげてください。
ドッグランに連れていってあげても喜ぶはずです。
神経質なパピヨンですが、外出して様々な環境や家族以外の人に出会うことで、臆病さを克服し自信につなげることができるでしょう。
賢く運動神経の良いパピヨンはドッグスポーツにも向いています。
飼い主もパピヨンと一緒にアクティブな時間を楽しんでください。
パピヨンがかかりやすい病気の症状と治療費用をまとめました。
いざというときを考えて、医療費の準備をしておきましょう。
かかりやすい病気 | 主な症状 | 治療費用 |
---|---|---|
水頭症 | ・聴覚障害
・視覚障害 ・てんかん発作 ・旋回運動 |
・投薬
月間約3000~5000円程度 ・外科手術 約20万~35万程度 |
膝蓋骨脱臼 | (初期は無症状)
・足を引きずる ・歩行困難 ・X脚 ・O脚 |
・外科手術 約16万~40万程度 |
白内障 | ・視力低下
・失明 |
・外科手術 (入院料・検査費などを含む) 片目で20~40万円 |
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水頭症
頭蓋骨の中は脳脊髄液と呼ばれる液体で満たされています。
脳脊髄液は衝撃から脳を守る役割を果たしています。
しかし、何らかの原因で脳脊髄液の流れが悪くなり、液が必要な量以上に貯まって脳を圧迫することがあります。
これが水頭症です。犬の水頭症は先天的な要因での発症が目立ち、特に4~5ヶ月~1歳未満の子犬の例が多くみられます。
水頭症の症状は、てんかん発作や視力障害、意識障害、円運動等の異常行動、性格の変化、斜視など多岐にわたります。
症状の重さは脳脊髄液の貯まり具合で変わってきます。
薬の投与で症状を緩和する処置を行いますが、薬で改善しない場合や重症化した状態では手術が必要になることもあります。
パピヨンの様子に普段と変わった様子が見られたら、すぐにかかりつけの病院に相談してください。
成犬期(1~7歳)
アレルギー性皮膚炎
アレルギーの原因物質(アレルゲン)に免疫機構が過剰反応して引き起こされる皮膚炎です。
アレルギーの原因によって4パターンに分類されます。
・吸引性アレルギー(ハウスダストなどのアレルゲンを吸い込むことで起こる)
・食事性アレルギー(食物がアレルゲンとなる)
・ノミアレルギー(ノミに血を吸われることで起こる)
・接触性アレルギー(食器やおもちゃなどがアレルゲンとなり、それらに接触することで起こる)
痒みを感じる、じくじくする、乾いてフケが出るなど症状も様々です。
食物性アレルギーの場合は、皮膚炎に加えて、下痢や外耳炎を併発することもあります。
治療の第一歩はアレルギーの原因を特定するアレルギー検査です。
原因が判明したら、アレルギーの原因を取り除くようにし、免疫を抑制する薬の投与等を行います。
アレルゲンの特定には飼い主による日常の行動観察が重要です。
パピヨンが何を食べたか、どんな環境で生活しているかを獣医に正確に伝えられるようにしましょう。
また治療の最中は、皮膚炎の医療処置にとどまらず、アレルゲンをそばに近づけないように気を配ってください。
高齢期(7歳~)
白内障
目の中でカメラのレンズのような役割をしている場所「水晶体」が何らかの原因で白濁してしまう病気が白内障です。
若いうちに遺伝的原因によって発症する「若年性白内障」もありますが、多いのは加齢によっておこる「老年性白内障」です。
後者は主に6歳以上で発症します。
糖尿病に伴って起こる場合もあります。
白内障が進行すると目が見えづらくなり、階段でつまづいたり、家のあちこちにぶつかるようになったりといった視覚障害が起こります。
完全に水晶体が濁り切ってしまうと失明してしまいます。
初期段階では内服薬や点眼によって病気の進行を遅らせる内科的治療を施しますが、この方法では白内障を完治させることはできません(ただし糖尿病に伴う白内障は初期段階なら回復することもあります)。
濁った水晶体を手術で取り除く外科的治療もありますが、人間の手術のように一般的に行われているものではありません。
高齢の犬の場合、慣れ親しんだ環境が変化しなければ、失明したとしても日常生活に問題がない場合もあります。
動物病院でよく相談して治療方法を決めてください。
保険選びのポイント
パピヨンには様々な病気の危険性があることが分かりました。治療費が高額になった場合に備えて、保険金が請求できるペット保険に加入しておくと安心ですね。各保険会社を比較するためのポイントを見てみましょう。
補償範囲の外側を確認しよう
ペット保険には補償の対象外となる部分がいくつかあります。
まずは、免責金額です。
免責金額は飼い主が自分で負担しなければならない保険の金額です。
だいたい免責金額が大きい(自己負担が多い)プランほど保険料は安くなる傾向にありますが、その分、保険金が貰えないケースも多くなります。
次に、保険の開始期間です。
人間の医療保険と同じくペット保険にも待期期間があり、待期期間中の病気は補償されないことがあります。
最後に、補償外となる病気やケガの範囲です。
予防注射で予防できる病気や、自然災害によるもの、飼い主の過失や故意によるケガを補償対象外にしている会社は多いです。
中には治療費や発症率が高い病気を補償対象外にしているペット保険会社もあります。
ペット保険を比較する際は補償の内容だけでなく補償外の範囲もよく確認し、万が一の時に頼りになる保険に加入しましょう。
年齢別の保険料を確認しよう
ペット保険は1回加入すればペットが生きている間ずっと払い続けるものです。
無理のない範囲で保険料の支払いができるものを選びましょう。
ペット保険の多くは年齢とともに保険料が上がっていきます。
0歳で加入する場合と、7歳で加入する場合とでは保険料がかなり違います。
現段階では保険料が安くても、将来的に支払いができないほど保険料が膨らんでしまっては意味がありません。
多くのペット保険会社は勧誘方針にて顧客が最適な保険を選べるような勧誘活動に努めるとしており、各ペット保険会社のサイトには年齢・犬種別の保険料見積ツールや保険料一覧が用意されています。
これらを上手に使って、ペット保険会社と各種プランの比較を行ってください。
また持病があったり、年齢が高すぎる場合は契約できないペット保険もあります。
できるだけ、年齢が若く健康なうちに加入を検討しておきましょう。
保険料、補償内容の比較表
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