身体の特徴や得意なことに合わせて目的を持って繁殖されたほとんどの洋犬とは異なり、柴犬は日本の土着犬として古代から日本の人間社会で共生してきたと言われています。
また、ジャパンケンネルクラブの犬種別のグループ分けでは、柴犬は「原始的な犬」の中にグループ分けされています。
長い間わたしたち日本人と共に生活してきた柴犬ですが、しつけが難しいとも言われます。
では、柴犬はどのような特徴や性質を持っているのでしょうか?
柴犬の特徴に合わせた飼い方のコツやしつけについて解説致します。
ペット保険を比較する
この記事をまとめると
柴犬は、日本を代表する犬種で、忠実で愛情深い性格が魅力です。
しかし、警戒心が強く、独立心が強い一面もあり、しつけには根気と根性が求められます。
主要なポイントは以下の4つ。
- しつけは、褒めて教えることが基本。体罰は厳禁。
- しつけは、短時間・短期間で行う。
- 子犬の頃から、さまざまなことに慣れさせる。
- 柴犬の警戒心や独立心を理解し、無理強いはしない。
要約
柴犬は、警戒心が強いため、初対面の人や犬に対して、すぐに友好的になることはありません。無理に仲良くさせようとすると、逆効果になる可能性があるため、時間をかけてゆっくりと慣れさせましょう。
また、柴犬は、独立心が強いため、飼い主に過度に依存させないようにすることも大切です。
柴犬は、飼い主に忠実で愛情深い犬種です。根気よくしつけを行うことで、素直で優しい犬に育てることができます。
柴犬は、非常に賢く飼い主に忠実な犬種です。
もともとは狩猟などの使役犬として飼育されていたため、家庭犬として飼育されている現在でも十分な運動量やストレス解消のための工夫が必要です。
被毛は、ダブルコート(しっかりした上毛と保温や保湿などの役割をもつ下毛がある)で、春先や秋など年2回の換毛期があります。
換毛期以外でも普段から抜け毛が多く、日々ブラッシングを行って余分な抜け毛を取り除く必要があります。
また、飼い主に忠実な反面、リーダーシップが取れない場合や十分な信頼関係を築けない場合には、警戒心から攻撃行動等を起こす可能性があるため、しっかりしつけを行う必要があります。
しつけの目的は、人間と犬がお互いにできるだけストレスなく、安心して一緒に生活することです。
しつけの方法はいくつかありますが、犬のもともと持っている性質や性格を理解することが非常に重要です。
しつけは褒めて教えるのが基本で、叩く、蹴るなどの体罰は厳禁です。
ポイントは上手くできたら褒めてご褒美を与えることを繰り返すことです。
ご褒美はおやつやフードなど食べ物というのが一般的ですが、食べ物が柴犬にとってのいちばんのご褒美にならないケースもあります。
食べ物以外にもおもちゃを与えることや優しく撫でること、「えらいね」と優しく声をかけるなど色々なパターンで犬のモチベーションを上げてしつけを行いましょう。
幼少期に覚えさせた方がいいこと
柴犬の性質である警戒心の強さも度を超すと、時には飼い主と犬自身の両方の生活に支障をきたす場合があります。
そのため、子犬の頃からの社会化トレーニングは非常に大切です。
怖い経験をたくさんさせるのではなく、お散歩中に車や自転車がそばを通っても怖がらずに歩けるようにするなど、小さなことをひとつずつ慣らしていきましょう。
また、身体を触る、口を開けるなど人間に身体を触れられることに慣れさせることも大切なしつけです。
これは、動物病院やトリミングサロンなどで人に触られることに強い恐怖心やストレスをなるべく少なくするための第一歩となります。
慣れてきたら口の周りや歯に触ることからスタートして、歯みがきなどのデンタルケアが出来る様にしましょう。
歯周病の予防のためには、ご自宅でのデンタルケアは必須です。
しかし、成犬になっていきなり歯磨きしようとしても嫌がって出来ないことがほとんどなので、子犬の頃から少しずつ慣らしていくことが大切です。
柴犬のしつけの基礎編
しつけで最低限必要なものは、
- ・無駄吠えをさせない
- ・トイレのしつけをする
- ・咬んでよいものといけないものを教える
の3つです。
しつけを全く行わなかった場合、家の中の好きな場所に排泄し、気になることがあると吠え続け、更に嫌なことがあると咬んだり暴れたり・・・、という犬に育ってしまう可能性があります。
さらに、しつけを行わないと飼い主による制御ができないため、犬の体調が悪くても動物病院に連れて行くことすらままならないという事態になり、これは命に関わる問題です。
ご自身でしつけを行ってもどうしてもうまくいかない場合は、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
信頼できるトレーナーさんに指導してもらうのも良い方法です。
その場合はトレーナーさんに愛犬を預けるのではなく、飼い主さまご自身が愛犬のしつけに参加して教えてもらう方法をおすすめします。
柴犬のしつけの応用編
上記の基本のしつけにプラスして
- ・サークルやクレートに慣らす
- ・「お座り」や「待て」「伏せ」などのコマンドに従う
というしつけを行いましょう。
<サークルやクレートに慣らす>
クレートやサークルでお留守番が出来ると、不在時の誤飲やいたずらを防ぐことが可能です。
また、昨今は水害や地震など自然災害が非常に多く発生しており、避難を余儀なくされる可能性があります。
愛犬がクレートやサークルに慣れていない場合、非常時には飼い主だけでなく愛犬のストレスも非常に大きなものになることが予想されます。
非常事態以外でも、動物病院やペットホテル、トリミングサロンなど愛犬がケージ内に入って待つという状況は考えられます。
飼い始めてすぐは、サークルやケージから出して欲しくて吠えてしまうこともありますが、要求吠えは無視して、犬があきらめて大人しく過ごせる様になるまで頑張ってみて下さい。
<「お座り」や「待て」「伏せ」などのコマンドに従う>
このしつけは、人と犬とのコミュニケーションにもなります。
教える方法は、おやつやドッグフードなどの食べ物を使う方法が一般的です。
「お座り」は、犬の鼻先におやつを持っていき、ゆっくりと上にあげると自然に座る姿勢になるので、「お座り」と言いながらうまくできたらご褒美を与えることを繰り返します。
「待て」は、同じようにおやつを犬の目の前に置き、待たせます。最初は短い時間からスタートし、うまく待てたら「ヨシ」の言葉と共にご褒美と褒めることを繰り返します。
「伏せ」は「お座り」ができるようになったらさらに低い姿勢になるようにおやつでコントロールし、同様にできたら褒めてご褒美を与えます。
コマンドに従うというしつけは、「犬が喜んで指示に従う」というしつけに繋がります。
他に、くわえたものを離す「放せ」や飼い主が呼んだらそばにくる「おいで」など色々なコマンドを覚えさせると、お互いが楽しいだけでなくとっさの時に役に立つので非常におすすめです。
柴犬を始め、日本犬は警戒心が強い傾向があります。
さらに、成犬になっても「心は永遠の3歳児」と言われる愛玩犬と異なり、日本犬はそうではないと言われます。
その様な日本犬特有の性質から、柴犬には愛玩犬に行う一般的なしつけの方法が合っていない場合があり「柴犬のしつけは難しい」と言われる理由だと考えられます。
しかし、「警戒心が強く、頑固で独立心が強い」という性質は、逆に「慎重で、忠実で自立している」とも言えます。
子犬の頃に教えたしつけは大人になっても忠実に守り、適度な距離感で安心して過ごせるという長所を生かしたしつけを行うためには、
- ・一度決めたルールをコロコロ変えない
- ・飼い主側が気をつけて、問題行動に繋がらないようにする
ということも大切です。
一度決めたルールをコロコロ変えない
例えば、「ソファーの上に乗らない」「基本的にはサークルの中で過ごす」というルールを作ったとします。
ある時はソファーの上で寝ていても怒られなかったのに、ある時は「ダメ」と叱って下に降ろされる、いつもはサークル内で過ごしているのに、お客様がいる日は一日中サークルから出して遊べる、など飼い主側の都合でルールをコロコロ変えないことが大切です。
ルールが頻繁に変わることで犬が混乱するばかりか、自分の要求を通そうとして問題行動に繋がるため、決めたルールはご自身が守る様に心がけましょう。
飼い主側が気をつけて、問題行動に繋がらないようにする
柴犬は警戒心が強いため、前述したとおり子犬の頃から社会化のトレーニングが必要です。
また自己防衛の性質が強く、「怖い」「危険だ」と思うと自分の身を守ろうとして噛むこともあります。
動物病院の受診など何かあった時に犬を制御することが出来る様に、子犬の頃から足先や口周り、耳など全身を触って慣らしましょう。
成犬やシニア犬の場合は、お散歩中などに見慣れない人や犬には近づけない様にするなど飼い主が愛犬を守ることも大切です。
柴犬は皮膚疾患や外耳炎になりやすく、特に季節の変わり目にはわたしの勤務先にも多くの柴犬の飼い主さまが来院されます。
また、アトピーやアレルギー体質の柴犬は、皮膚炎や痒みが悪化して長い期間治療を継続する場合もあります。
この様に動物病院を受診する場合に病状と同じぐらい気になるのが、ペットの医療費ではないでしょうか。
ペットには、人間の様な公的な健康保険制度がありません。
そのため、ペットの病気やケガの治療に支払う医療費は、すべて飼い主の自己負担です。
状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になることも考えられ、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。
さらに、年齢が若くても歳を重ねてシニアになっても、病気やケガの可能性は常にあります。
ご自身でペットのために日々備えるという方法もありますが、「予想もしなかった事態」に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。
ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主さまが動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。
ペット保険を扱う保険会社は現在10社以上あります。
ペット保険に対して何を一番重視するかは人によって異なるため、自分と愛犬に合った保険を選ぶコツは、ペット保険会社の情報を集めて比較検討することです。
医療費の補償以外にも、ペット保険の加入者に対して獣医師が24時間しつけや健康に対する相談を受けてくれるサービスなどを付帯しているペット保険も増えてきました。
補償内容が多ければ多いほど、保険会社に支払う保険料は高くなるのが一般的なので、補償内容の重視するポイントや優先順位についてお伝えします。
ペット保険選びのポイントは?
「保険料はなるべく抑えたい」「なるべく多くの補償や付帯サービスを受けられる保険が安心」などペット保険に求める内容は、人それぞれ違いますが、ペット保険を選ぶにあたって優先順位が高いのは、
・保険会社に支払う保険料
・補償内容
の2点だと思います。
保険会社に支払う保険料について
保険料は最も安いものでは月に500円~、金額が多いプランでは1万円前後です。
保険会社や加入プランによって異なりますが、加入してから終身までずっと同じ保険料ではなく、保険料の見直しがあるのが一般的です。
若い時は安い保険料でも更新の度に保険料が上昇するプランや、ある程度の年齢になったら保険料が一定になるプランなど色々なプランがあります。
年齢が上がるにつれて保険料が高くなり加入条件が厳しくなるのが一般的で、プランによっては加入できなくなる場合もあります。
最近ではシニア犬用(8歳~)のペット保険も増えていますので、将来のことも考えて情報を集めておくと安心です。
補償内容について
補償内容は保険会社やプランによって様々で、
- ・病気やケガによる通院や入院を含め手術もすべて補償する
- ・手術に関する治療費のみ補償する
- ・保険会社が補償する割合は30%、50%、70%が多い(90%や100%もある)
- ・1回の手術につき50万円を補償するなど手術に特化している
などがあります。
補償内容を選ぶポイントとしては、前述したとおり柴犬は外耳炎や皮膚疾患が多い犬種なので、何度も通院が必要になる場合も考慮し、万が一の手術の補償に加えて通院治療の補償がしっかりしているプランがお勧めです。
補償内容を選ぶ際には、手術や入院治療と通院治療をしっかり補償してくれるプランを選ぶことをお勧めします。
なお、ペット保険は「病気やケガに備える」という目的のものなので、不妊去勢手術、ワクチン接種やフィラリア予防など予防に関するものや、保険加入以前にかかっていた病気やケガについては補償対象外です。
保険会社による補償は無制限ではなく上限(支払限度額または支払限度日数・回数)があります。
また、保険料を低く設定するために、免責金額(ある一定の額までの加入者の自己負担の金額)の設定があるプランがあるので加入前には確認が必要です。
ペット保険を比較する