ロシアンブルーの平均寿命とは?
アニコム家庭どうぶつ白書2023のデータによると、ロシアンブルーの平均寿命は14歳です。同データの猫の平均寿命14.7歳と比較すると、平均寿命は若干短いと考えられます。
しかし、アメリカでは長寿の猫種として知られており、他の猫種と比較してもロシアンブルー特有の遺伝性疾患は比較的少ないといわれています。
参考:アニコム家庭どうぶつ白書2023
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202312.pdf
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ロシアンブルーってどんな猫?
ロシアンブルーのルーツ
ロシアンブルーのルーツは、ロシア北西部のアルハンゲリスクという港町に生息していた土着の猫だという説がありますが、正確なところは不明です。
しかし、その歴史は古く、1880年代にはイギリスに渡ったとされています。
その後、第二次世界大戦などにより数が激減し、猫種として保存するためにブリティッシュショートヘアーなどとブリーディングされ、現在に至っています。
ロシアンブルーの身体的特徴
ロシアンブルーはバランスのよい細身の身体と華奢な四肢を持つ猫で、体格はオスが4kg~5.5kg、雌が2.5~4kgです。
毛先の先端にシルバーが入るため全体的にはグレーに近い色味に見えますが、猫種の名前になっているブルーの被毛が特徴の短毛種です。
また、子猫の時は淡いブルー、成長するとグリーンの大きな目や、口角が少し上がってまるで微笑んでいるように見える「ロシアンスマイル」と呼ばれる可愛らしい表情もロシアンブルーならではの身体的特徴といえるでしょう。
なお、ダブルコートのため短毛種の中では抜け毛が比較的多く、ブラッシングなどのお手入れをしっかり行う必要があります。
ロシアンブルーの性格
ロシアンブルーは、基本的に人見知りで繊細な性格のため、猫の中でも特に環境の変化が苦手な猫種です。
そのため、人の出入りが頻繁な家庭や引っ越しが多い家庭には、あまり向かない猫だといえるでしょう。
知的な性格で、人をある程度観察してから仲良くするかどうかを判断し、家族の中でも心を許す人とそうでない人がいると考えられています。
しかし、一度心を許すと飼い主に忠実で甘えん坊な一面もあり、このギャップによりロシアンブルーの虜になってしまう人が多い印象があります。
ロシアンブルーの食事と健康管理について
食事について
猫は肉食動物で、消化管は短くタンパク質の要求量も多いという特徴があります。
適切な食事とは猫の身体に合った食事のことで、基本的には総合栄養食と新鮮なお水が中心の食事がおすすめです。
ドライフードだけでは水分不足になりやすいので、ウエットフードを併用するとよいでしょう。
ロシアンブルーはもともと細身の猫で、さらに他の猫種と比較して糖尿病になりやすいというデータもあるため、太らせないように食事やおやつの与えすぎには注意しましょう。
なお、100%手作りの食事を猫に与える場合は、リンとカルシウムのバランスや必要なビタミンの不足などが懸念されるので、動物栄養学を学んでから実践することをおすすめします。
食事の与え方は、生後3ヶ月~生後6ヶ月くらいまでは一日3回、それ以降は一日2回にするなど時間と量を決めて与える給餌方法をおすすめします。
フードを置きっぱなしにして自由に食べさせる置きエサ方式は、猫が好きな時に食べて胃や腸が休まる時間がないうえに、猫の催促に負けてついついおやつやフードをあげすぎてしまい、給餌量が多くなる可能性があります。
ロシアンブルーは留守が多い家庭でも飼いやすい猫種ですが、不在時は自動給餌器を活用するなど食事の与え方に工夫をしましょう。
注意すべき食材は?
人間の食べ物でも、猫には中毒を起こす食材があります。
特に注意が必要な食材は以下の2つです。
・長ネギ・玉ネギ・エシャロットなどのネギ類
→赤血球を破壊して、貧血や血尿を引き起こす可能性があります。
・チョコレートやココアなどカカオが含まれているもの
→カカオに含まれているテオブロミンによる中毒により、嘔吐下痢などの消化器症状の他、けいれん発作や心不全などで死亡する例があります。
また、食材ではありませんが、ユリ科の植物の誤食は猫にとって致命的です。
花や葉、茎のほか、活けてある花瓶の水を飲んだだけでも命に関わるケースが多いため、ユリ科の植物は置かないようにしましょう。
運動と生活環境について
健康で長生きするためには、食事の管理と共にある程度の運動も必要です。
ロシアンブルーは高いところを好む傾向があるといわれているので、キャットケージの高い位置にフードを置いて食事を与えるなど、自然に運動ができるような環境を作るのもよいでしょう。
なお、ダブルコートで被毛が密集しているため、ロシアンブルーは夏の暑さには弱いといわれています。
猫にとって快適な気温は21~28℃、湿度は50~60%だといわれていますが、年齢などの個体差があるので、どれくらいのエアコン設定が愛猫に合っているか確認しておくと安心です。
特に気温が高い時期には、愛猫が快適に過ごせる様に温度管理を心がけましょう。
定期的な健康チェック
健康的な生活を送るためには、定期的な健康チェックは必須です。
最低でも年に1回は血液検査・尿検査などの健康診断を受けましょう。
ロシアンブルーの長生きの秘訣
猫種に関わらず長生きするための秘訣は、病気にさせないように予防に努めることです。
その中でも基本となるのは体重管理とデンタルケアです。
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肥満に注意する
肥満は、下部尿路疾患、変形性関節症や糖尿病などのリスクを高め、猫の生活の質を下げる原因となります。
さらに、肥満が猫に与える影響は、「飼い主と遊びたいのに太って動くのがつらい」「上下運動ができなくなる」など猫にとって精神的なストレスにまで及ぶともいわれています。
フードやおやつなど、猫に与える食べ物の一日量を量ってそれ以上与えないようにすると食事管理が簡単です。
愛猫の心身の健康を保つためにも、食事管理を徹底するよう心がけましょう。
デンタルケアを行う
デンタルケアの目的は、「口の中をきれいにする」だけにとどまりません。
歯の状態が悪くなると痛みのために食欲が低下するだけでなく、歯周病が原因で心疾患、肝臓疾患、心疾患など身体全体の健康状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロシアンブルーは他の猫種と比較すると、歯周病や歯肉炎になりにくいというデータはありますが、歯ブラシやデンタルグローブ、猫の好みの味のデンタルペースト等を上手に利用して若いうちからデンタルケアを行いましょう。
ロシアンブルーがかかりやすい病気や治療法について
ロシアンブルー特有の意識すべき遺伝性疾患はないといわれていますが、糖尿病や尿石症になりやすいといわれています。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値を下げる働きをもつインシュリンというホルモンが出なかったり、出ても様々な要因でインスリンの効き目が悪くなったりすることが原因で起こる内分泌疾患です。
原因は遺伝的や体質的なもの、肥満や膵炎が原因で発生するケースなど様々です。
主な症状は多飲多尿で、糖尿病になるといつも高血糖が続いて尿中に糖が捨てられるため、体内の代謝に悪影響を及ぼし食欲があるのに体重が減少します。
治療は、一般的にはインスリンを注射するインスリン療法と食事療法を行います。
また、代謝異常により炭水化物代謝がうまくいかずにケトン体が生成されると、電解質の異常や極度の脱水により全身状態が悪化するケースもあり、その場合は入院して点滴等の集中治療が必要です。
尿石症
尿石症とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道で構成される尿の通り道の4つの器官のどこかに結石ができる泌尿器疾患です。
結石の種類は、リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)とシュウ酸カルシウムが多数を占め、ストルバイト結石は食事や投薬によって溶解することが多いのですが、シュウ酸カルシウム結石は食事によって溶けないため非常に厄介です。
体質や遺伝的なもの、ドライフードの給餌による飲水量の不足、細菌感染など原因は様々で、症状と治療方法は、発生場所と結石の大きさによって異なります。
そのため、健康診断など他の目的で撮影したレントゲン検査などで偶然発見されることも多く、発見されるまでに腎臓のダメージが進行してしまうこともあります。
最も注意が必要なのは、尿管または尿路に結石が詰まって完全に閉塞して尿が出なくなるケースです。
その場合は、急性腎不全になり全身状態が悪化して命に関わるため、カテーテルやチューブを用いて尿路を確保する緊急処置が必要です。
尿石症はなかなかわかりにくい病気ですが、愛猫が毎日排尿しているかを確認したうえで、定期的に健康診断を受けて早期発見を心がけましょう。
予防接種・定期健康診断について
猫は、犬と異なり狂犬病予防接種などの法律で定められた必須の予防接種はありません。
しかし、病気の予防の観点からのワクチン接種をおすすめしています。
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混合ワクチン接種について
混合ワクチン接種は、母猫からの移行抗体が減ってくる生後2ヶ月以上の子猫の時期に約1ヶ月間隔で2回のワクチン接種が推奨されています。
その後は、1年に1回のワクチン接種を行う場合が一般的です。
なお、WSAVA(世界小動物獣医師会;World Small Animal Veterinary
Association)のワクチネーションガイドラインでは、定期的にペットホテルを利用する猫や多頭飼育や室内と屋外を行き来する猫は1年に1回のワクチン接種が必要であるが、コアワクチン(猫伝染性鼻気管炎・カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症)は3年に1回、ノンコアワクチン(上記3つ以外の猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルス・クラミジア感染症など)は地理的要因や環境、ライフスタイルによって、感染症のリスクが生じる動物にのみ必要だという記載があります。
このガイドラインを受けて、ワクチン接種のプログラムについては各病院によって対応が分かれるというのが正直なところです。
参考:世界小動物獣医師会 犬と猫のワクチネーションガイドライン
https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/WSAVA-vaccination-guidelines-2015-Japanese.pdf
定期健康診断について
ロシアンブルーは、人見知りが激しいため見知らぬ人には怯えやすく、大きな音や犬の声が苦手です。
猫はストレスを感じると血糖値や白血球の上昇など検査データが変動することが知られています。
病気にかかりやすくなるシニア期(~7歳くらいまで)までは、年に1回のワクチン接種の際に健康診断を受けるとよいでしょう。
猫と犬の診察室がしっかり分かれている動物病院や、猫の取り扱いに配慮してもらえる動物病院を見つけておくとより安心です。
【獣医師のアドバイス】ロシアンブルーが長生きする秘訣・飼い方のコツ
わたしの勤務先に通院していたロシアンブルーの中で最も印象が深いのは、糖尿病で通院していたオスのロシアンブルーです。
飼い主さまがインシュリンを注射し、定期的に通院して血液検査等のチェックが必要、と怖がりで人見知りのロシアンブルーにとっては非常にストレスが溜まる状況だったと思いましたが、平均寿命以上の16歳まで頑張ってくれました。
生活環境は、穏やかなご夫婦お二人で共働きのご家庭で、その猫ちゃんもお家ではのんびりゆったり過ごしているという印象がありました。
大きな病気を抱えながらもその猫ちゃんが長生きした理由は、やはり病気の早期発見と治療、さらには猫の異変に気づいたらすぐに診察を受けるという飼い主さまの習慣だったと感じます。
愛猫の異常に早く気づくためのチェックポイント7つ
「普段の様子と違う」と愛猫の異変に気づくことは、飼い主さまにしかできません。
以下の7つのポイントを意識して毎日愛猫の様子をチェックし、いつもと違うと思ったら早めに動物病院を受診しましょう。
- ・食欲の有無の確認
- ・排尿や排便の状態(特に排尿は毎日しているかチェックする)
- ・飲水量の変化
- ・体重の増減
- ・歩様・動き方の変化
- ・口腔内を見る(粘膜の色や歯の状態)
- ・身体に触れて腫れや出来物等がないかをチェックする
ペット保険の選び方
ペットには、人間の様な公的な健康保険制度はありません。
そのため、動物病院での治療費の負担は全額自己負担です。
状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になる場合や、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。
何かあった時のための備えとしてペットのためにご自身で備えるという方法もありますが、突然のケガや病気など予想もしなかった事態に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。
ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。
現在、多くのペット保険会社がありますが、保険会社や契約プランにより、保険料や補償の内容等は異なります。
自分とペットにあった保険を選ぶには、情報を集めて比較検討をすることが大切です。
どんな補償内容が必要かは人によって異なりますが、ここではペット保険の選び方のポイントについてお伝えします。
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ペット保険選びのポイント
ペット保険を選ぶポイントは以下の3つです。
保険料
一般的に、補償内容が多ければ多いほど、さらにペットの年齢に比例して保険料は高くなります。
実際に支払う保険料は、月額500円~1万円くらいまでとかなり差があります。
どの補償内容が必要なのか検討し、保険料とのバランスを考えて決めましょう。
補償内容
補償内容は、手術のみ補償するプラン、通院も含め手術や入院も補償するプランなどいろいろなプランがあり、補償割合も30%~90%などがあります。
保険料とのバランスもありますが、「万が一の事態に備え高額になりがちなペットの治療費の負担を軽くし、さらに通院のハードルが下がる」という意味では通院と手術・入院を補償するプランがおすすめです。
加入時の年齢
ペット保険は、ペットの年齢が高ければ高いほど保険料が高くなるのが一般的で、ある程度の年齢になると加入できないプランもあります。
反対に、シニア専用の保険やシニアになっても継続できるペット保険もあります。
現在、猫の平均寿命は約15歳で、年々伸びていく傾向があります。
歳を重ねると病気になりやすくなるため、シニアになっても使い続けられるペット保険をおすすめします。
保険会社によっては動物病院での支払い時に補償額を差し引いて窓口精算できる(対応可能動物病院のみ)ペット保険や、医療やしつけについて獣医師に24時間無料電話相談ができるサービスが付帯しているペット保険もあります。
初めて猫を飼う方には、この様な相談ができる付帯サービスがあるペット保険がおすすめです。
なお、ペット保険は病気やケガのために備える目的のものなので、ワクチンや不妊・去勢手術、ノミ・マダニなどの予防に関するものや保険加入前に発症している病気や先天性疾患に関しては補償の対象外なので注意しましょう。
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