猫の平均寿命は年々伸びています。中には20年生きたというご長寿な猫もいるほどです。
それでは一般的な猫の平均寿命は何歳なのでしょうか。猫のギネス記録もあわせて解説します。
猫の平均寿命は、15~16歳。
雑種の猫の方が、純血種の猫よりも長生きする傾向がある。
長生きの秘訣は以下の4つ。
猫を長生きさせるためには、完全室内飼育、適切な食事と運動、定期的な健康診断、病気やケガの早期発見・治療が大切です。
猫は、もともと野生動物で、狩りをして生きてきた習性があります。そのため、運動不足になると肥満や病気の原因になります。また、猫は好奇心旺盛な動物なので、室内でも遊べる環境を整えてあげましょう。
一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」3.pdf
(petfood.or.jp)によると、猫の平均寿命は15.6歳です。
2010年以降から平均寿命は延びており、10年前と比べると1.3歳も伸びています。
平均年齢が上がった理由として
などが考えられます。
「獣医療の発展」「ペットフードの改良化」など、ペットに対する意識の変化で平均寿命が上がったと考えられます。
獣医療の発展は目覚ましく、日々新しい治療薬が開発されています。
また、フードに関してもペットの悩みに対応した良質なものが多く販売されています。
「ペットは家族」といった意識が業界に広く表れているのがわかります。
昔はペットは外で飼育することが一般的でした。
近年では猫を完全室内で飼育する飼い主さんも増えており、このことが猫の平均寿命を延ばしていると思われます。
先にご紹介した一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」3.pdf (petfood.or.jp)によると、外に出る猫の平均寿命が13.75歳なのに対して外に出ない猫は16.22歳でした。
猫は外出するとほかの猫との接触やケンカで感染症にかかるリスクが高くなります。
また交通事故にあう可能性もあり、猫が外に出ることで命の危険にさらされる機会が増えてしまうのです。
犬と同様、猫にも多くの種類があります。猫の種類によって平均寿命の違いがあるのでしょうか。
アニコム「家庭どうぶつ白書2017」(book_201712.pdf (anicom-page.com))での人気猫TOP10の寿命は下記のようになっています。
【猫種別平均年齢(上位10品種)】
猫種 | 平均寿命 |
---|---|
混血猫 | 14.3歳 |
日本猫 | 14.3歳 |
ペルシャ(チンチラ) | 13.9歳 |
アメリカン・ショートヘア | 13.5歳 |
ラグドール | 13.5歳 |
スコティッシュ・フォールド | 13.4歳 |
ロシアンブルー | 13.1歳 |
ノルウェージャン・フォレスト・キャット | 12.6歳 |
メイン・クーン | 12.5歳 |
マンチカン | 11.1歳 |
表では混血種よりも純血種の方が寿命が短いことがわかります。
純血種はその種を守ろうと同じ種類の猫同士を交配させます。
特有の遺伝子疾患も受け継がれる形になってしまい、その結果遺伝性疾患が発症する可能性が高くなってしまうのです。
そのため純血種の方が平均年齢が短くなると考えられます。
ギネス記録によると猫の最高寿命は、38歳と3日生きたアメリカの「クリームパフちゃん」という猫です。
メスの猫で、人間でいうと168歳に換算されます。
【猫と人間の年齢早見表】
猫年齢 | ヒト年齢 |
---|---|
1ヶ月 | 1歳 |
3ヶ月 | 5歳 |
6ヶ月 | 9歳 |
1歳 | 18歳 |
1歳6ヶ月 | 20歳 |
2歳 | 24歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
猫1歳ごとに+4歳 | |
15歳 | 76歳 |
18歳 | 88歳 |
20歳 | 96歳 |
猫の平均年齢はおよそ15歳です。
それと比べてもクリームパフちゃんの38歳はかなりの長寿であることがわかります。
猫のかかりやすい病気は3つあげられます。
これらの治療方法や治療費を解説していきます。
慢性腎臓病(腎不全)とは何かしらの原因で腎臓の機能が低下してしまう病気です。
この病気にかかる原因は様々です。
「細菌や猫伝染性腹膜炎(FIP)等のウイルスの感染による腎炎」
「薬物などによる中毒」
「心筋症やショックなどによる腎血流量の低下」
「免疫疾患などによる腎炎」
「結晶や結石などによる尿路の閉塞」
など腎臓がダメージを受ける理由は多くあります。
主に高齢猫の発症例が多い疾患ですが、若い猫も発症することがあるため注意が必要です。
腎臓は一度機能が低下すると回復しません。
そのため腎臓病の治療は進行を遅らせることが目的となります。
処置 | 目的 |
---|---|
内服薬やサプリメント | 腎臓の負担軽減 |
皮下点滴 | 嘔吐・脱水・食欲不振の改善 |
療法食 | タンパク質・ナトリウム・リン等を制限し尿毒症を引き起こさないようにする |
平均治療費 | 272,598円 |
---|---|
入院費平均単価 | 69,003円 |
※参考元:アニコム「家庭どうぶつ白書2019」(book_201912_2.pdf (anicom-page.com))
手術のような高額な出費はありませんが、定期的な通院や入院で長期の治療費が必要ことがわかります。
尿石症とはおしっこが作られて体外に排泄されるまでの尿路に結石ができ、膀胱や尿道を詰まらせる病気の総称です。
結石は尿の中に含まれている物質が結晶をつくり、それがタンパク質などと結合して固まったものです。
尿石症になる原因は
「おしっこの間隔が長い」
「遺伝」
「尿路の細菌感染」
「ミネラルが多い食事」
だといわれています。
特に猫は給水量が少ないことからおしっこの間隔が長くなり、ミネラル成分が結晶化しやすくなってしまいます。
そのため猫に水をたくさん飲ませる工夫が大切です。
治療方法は
があります。
【食事療法と薬での治療】
症状が軽度であれば結石を溶解する作用がある療法食と、抗生物質や痛み止めなどの薬を使用します。
最近では尿石用の療法食がネットや店頭などで一般的に販売され、獣医師の処方なしでも手軽に購入できるようになりました。
ただし独自の判断で療法食を与えず、きちんと動物病院で処方してもらうことをおすすめします。
尿結石は、一口に結石と言っても結晶となるミネラルの違いから種類があります。
動物病院では結石の種類を調べてそれに合う療法食を処方します。
そのため獣医師の指導のもと、正しい療法食を正しい期間で与えることが大切です。
【手術】
結石が大きかったり再発を繰り返す場合や結石が見つかった場所によっては手術で石を取り除きます。
麻酔が必要であることから術前検査と、開腹するため数日の入院が必要になります。
平均治療費(尿石症の場合) | 82,175円 |
---|---|
平均治療費(膀胱結石の場合) | 122,033円 |
手術費平均単価(膀胱結石) | 192,889円 |
※引用元:アニコム「家庭どうぶつ白書2019」(book_201912_2.pdf (anicom-page.com))
結石が膀胱で見つかると「膀胱結石」となります。
膀胱結石の場合、結石が尿道などで詰まって重症化するのを防ぐため基本的には手術で取り除かれます。
全身麻酔を使用するため多くは術前検査が必要になります。
またお腹を切って開くので数日の入院費用も掛かることから多くは治療費が高額になります。
歯周炎とは歯と歯肉(歯茎)の間の溝である歯周ポケットに炎症が引き起こされた状態です。
歯周病の症状として
「強い口臭」
「よだれ」
「口の中の違和感」
がみられます。
重症化すると歯周病菌があごの骨を溶かしたり内臓にまで悪影響を及ぼす恐ろしい病気です。
歯周病の重症度で内科的治療と外科的治療に分けられます。
内科的治療 | 歯周病菌をやっつけるための「抗菌薬」を投与 痛みや炎症を軽減するための「消炎鎮痛剤」を投与 |
---|---|
外科的治療 | 歯石除去 抜歯 |
歯石の付着も少なく症状が軽度であれば内科的治療が行われます。
一方歯茎に炎症がみられ歯石の付着がみられる場合などには、炎症のもとである歯石の除去を行います。
歯周病の症状が進行し、歯石を除去しても健康な状態に戻らないなどのケースだと抜歯が適用されることもあります。
歯石除去と抜歯は全身麻酔を使用します。
平均治療費 | 71,061円 |
---|---|
手術費平均単価 | 61,519円 |
入院費用平均単価 | 74,518円 |
※引用元:アニコム「家庭どうぶつ白書2019」(book_201912_2.pdf (anicom-page.com))
歯石除去と抜歯が併用されると高額になる可能性があります。
基本的には治療が終われば長期的な通院は必要ありませんが、歯磨きなどのケアを怠ると再発する恐れがあるので注意が必要です。
膵炎とは膵臓に炎症が起き、様々な症状が現れる疾患です。
原因ははっきりとは解明されていませんが
「遺伝」
「ストレス」
「感染症」
「外傷」
などではないかといわれています。
猫の膵炎は多くみられ、特に中高齢の猫におこりやすいことがわかっています。
猫の膵炎は確実な治療方法がありません。
そのため対処療法となります。
炎症や痛みがあれば抗炎症剤や鎮痛剤、栄養状態が悪ければ輸液の使用など猫の状態に合わせて処置を行います。
平均治療費 | 209,220円 |
---|---|
入院費平均単価 | 66,533円 |
※参考元:アニコム「家庭どうぶつ白書2019」(book_201912_2.pdf (anicom-page.com))
猫の膵炎は手術での治療法がないため、通院や入院が主になります。
そのため長期的な通院を覚悟しておかなければいけません。
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日本猫に多い病気やケガは?愛猫を長生きさせるためには
に気を配りましょう。
どのキャットフードがいいのかは猫それぞれです。
愛猫の悩みや年齢にあったフードを選びましょう。
ウェットフードとドライフードはどちらでも構いません。
ウェットフードは食事と同時に水分も摂取できるというメリットがあります。
肥満に注意して適切量与えるようにしましょう。
猫がいる部屋を適温にしておくことはもちろん、安心できる環境を作っておくことが重要です。
隠れる場所や自分だけのスペースを準備しましょう。
また、あまり知られていませんがトイレは頭数+1が基本的な数です。
人通りが少ない場所に設置します。
新鮮なお水は複数個所設置しておくのが理想です。
猫はもともと給水量が少ないのでいつでも飲めるように配慮しましょう。
爪とぎもいくつかあると、してほしくないところでの爪とぎを防ぐことができます。
高齢猫の場合には関節の負担を考えてくつろげる場所は下に作っておくなど、愛猫に合わせた環境づくりを行いましょう。
猫は一日のほとんどを寝て過ごすとはいえ運動も必要です。
コミュニケーションもかねて飼い主さんが遊んであげましょう。
猫の狩猟本能を刺激するような遊びをすると、猫のストレスも軽減されます。
適度な運動はストレス軽減だけでなく肥満解消にも役立ちます。
猫は肥満から糖尿病になりやすく、糖尿病はほかの病気を引き起こします。
一日の中で猫と遊ぶ時間を作ってあげることも飼い主の大切な役目です。
病気は早期発見で重篤化を防ぐことができます。
猫の病気のサインを見逃さないようにしましょう。
【病気のサイン】
「痩せてきた」
「食欲が減った、または急に増えた(食べ物でないものを食べる、ご飯をねだり怒る)」
「元気がない」
「水を飲む量が増えた」
「おしっこの回数が増えた」
「血便、血尿、下痢など便の変化」
「毛ヅヤがない」 など
少しでもおかしいなと感じたら獣医師に相談することが重要です。
また病気の予防には定期的な健康診断や予防接種ワクチンが有効です。
特に7歳以上の高齢猫は病気を発症するリスクが高くなります。
そのため半年に1回の健康診断をおすすめします。
保険には多くの種類があり、猫はどの保険がいいのか迷うでしょう。
ここからは猫に保険を選ぶ際のポイントを解説していきます。
猫の保険を選ぶポイントは
です。
猫がかかりやすい病気として
「慢性腎臓病・腎不全」
「尿石症」
「歯肉炎・歯周炎」
を先述しました。
実はその中の「歯肉炎・歯周病」は、保険会社によって補償されるか否かが変わってきます。
また慢性腎臓病や尿石症に関しても、一度通院歴があると加入できない保険もあります。
猫の保険に加入する際、猫がかかりやすい疾患を補償してもらえるか調べてから検討するようにしましょう。
病気の種類や症状によって治療内容が異なります。
通院、入院、手術のどれを一番補償してもらいたいのかで検討することも大切です。
すべての補償をしてもらいたい人にはフルカバータイプの保険があります。
ただし通院回数や金額の上限が定められており、超えてしまうと補償が受けられません。
さらに補償範囲が広い分、月々に支払う保険料が高額になります。
高額な手術代に備えたいという方は「手術・入院特化型」がおすすめです。
費用が高額になりがちな手術や入院に特化した保険です。
通院回数や金額の上限はあるものの、フルカバータイプよりは余裕があります。
また保険の加入の多くが新規加入の年齢制限を設けています。
基本的に上限になりやすいのは、8~12歳のシニア世代です。
ただし保険会社のプランによっては高齢でも新規加入できるものもあります。
条件など会社によって違いがありますので、検討する保険会社に問い合わせてみましょう。
ペット保険にはたくさんの種類があります。
どれを補償してもらいたいかを考え、愛猫にあったペット保険を見つけましょう。
この記事の監修者
動物看護士とペットショップ店員を10年以上経験し、その知識を活かしてペット専門ライターとして活動中。
自身でもラブラドールレトリーバーと愛犬が見つけた捨て猫を飼育している。
個人では「青木まり子」で情報を発信。
▼Pet ear(ペットイヤー)
https://marikopet.net/
モットーは「飼い主さんの小さな悩みにも寄り添える」こと。