11周年

【獣医師監修】
エキゾチックショートヘアの平均寿命は?|年齢別の変化、特徴についても解説

【獣医師監修】エキゾチックショートヘアの平均寿命は?|年齢別の変化、特徴についても解説

エキゾチックショートヘアは、ペルシャから生み出された猫種で、ペルシャ譲りの平たい顔や大きな目が愛らしく、日本国内でも飼育頭数が増えています。
この記事では、エキゾチックショートヘアの寿命や特徴、よくある病気、健康管理等を中心にご紹介します。

エキゾチックショートヘアの寿命とその特徴

エキゾチックショートヘアとは?

エキゾチックショートヘアはペルシャから生み出された猫で、アメリカンショートヘアと交配した系統と、バーミーズを交配させた系統の二つがあるとされています。

特徴的なのは短毛ですが、長毛の個体が産まれることがあります。
長毛の個体は、「エキゾチックロングヘアー」という猫種に分類される、もしくは「エキゾチック」という猫種の中の長毛種として分類する、など猫種登録機関によって対応が異なります。

エキゾチックショートヘアの平均寿命

アニコム白書2022によるとエキゾチックショートヘアの平均寿命は12.2歳で、同データからみて他の猫種よりも短い傾向があります。

エキゾチックショートヘアの身体的特徴

エキゾチックショートヘアは、平たい顔、丸くて大きな目、小さな耳、短いマズルなど、ペルシャの特徴を引き継いでいます。
体格はオスが3.5kg~7kg、雌が3~5.5kgで一般的には中型の猫に分類されます。被毛の色とパターンは豊富で、四肢と尾が短いのが特徴です。

さらに、「短毛のペルシャ」と呼ばれることもあり、短毛種の中では比較的毛が長く被毛が密集しているため実際よりも大きく見える猫です。

年齢別の変化・特徴とかかりやすい病気

エキゾチックショートヘアの年齢別の変化・特徴と、かかりやすい病気を年齢別にまとめました。

子猫期(0~1歳)

多くの猫にとって、生活環境が大きく変わる時期です。
特に生後2か月前後は母猫からの移行抗体が減少してくる時期で、免疫が不安定になります。この時期は、ワクチン接種を受けて感染症を予防することを心がけましょう。

また、猫は生後6ヶ月前後で性成熟を迎えます。
エキゾチックショートヘアはもともと運動量があまり多くない猫種なので、不妊去勢手術を受けた場合は、肥満に注意しましょう。

<上部気道感染症(猫風邪)>

くしゃみ、鼻水、発熱、目やになど人間の風邪の様な症状が見られ、原因はヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアなどの感染です。
治療は点眼薬や点鼻薬、インターフェロンの投与などを行います。一旦症状がおさまっても再発する場合や、流涙や鼻づまりなどの症状が治らないケースもあります。

<消化器疾患>

消化器疾患とは食道や胃、腸など消化器系の病気のことです。

子猫の時期に特に多いのは下痢や嘔吐、そして異物誤飲です。特に飼い始めたばかりの子猫の時期は、環境の変化によるストレスや、寄生虫の感染などによる下痢が多く見られます。

異物の誤飲を防ぐためには、誤飲しそうなおもちゃなどを置きっぱなしにしないことが一番の対策です。いたずら好きな猫の場合には、留守番はケージに入れる様にする等工夫しましょう。

<猫伝染性腹膜炎>

猫伝染性腹膜炎は1歳未満のオスの子猫に発症しやすいと言われています。ある統計では、理由は不明ですが雑種より純血種での発生が多いという結果で、わたしの臨床経験上でも同じように純血種の猫に多い印象があります。

猫伝染性腹膜炎ウイルスは、ほとんどのイエネコが感染していると言われる猫腸コロナウイルスが突然変異してできたと言われています。

症状は食欲元気の低下、発熱、体重減少が見られ、腹水や胸水が貯まるウエットタイプとブドウ膜炎、肝臓や腎機能が低下し神経症状がみられるドライタイプの二つのタイプがあります。
この病気は、どちらのタイプも非常に治療の反応が悪く、残念なことに予後不良の場合がほとんどです。

成猫期(1歳~7歳)

比較的元気で病気になりにくい時期ですが、前述のとおり肥満に気をつける必要があります。
また、若いうちからブラッシングやご自宅での歯磨きなどのケアを習慣にすることも大切です。

<外耳炎>

外耳炎は猫種に関わらず、比較的多い疾患です。
原因はマラセチア菌という常在菌の増殖や細菌感染、耳ダニなどの外部寄生虫、過剰な耳のケアなど様々です。治療は点耳薬や駆虫薬など原因に合わせた治療を行います。

<下部尿路疾患>

下部尿路疾患とは、膀胱と尿道の病気のことで、特に多いのは特発性膀胱炎です。
しかし、下部尿路疾患は、尿石症や尿路感染症、腫瘍などが原因であっても頻尿や排尿困難、血尿などの同じような症状がみられるので、何が原因なのかを調べることが大切です。

また、尿道が閉塞している場合は、命に関わるのでなるべく早く治療する必要があります。愛猫がきちんと排尿しているかどうか毎日確認しましょう。

シニア期(7歳~)

健康上のトラブルが増えてくる時期です。
特にエキゾチックショートヘアは、腎疾患や心疾患が気になる猫種です。普段の愛猫の様子をよく観察し、少なくとも年に1回は健康診断を受けることをおすすめします。

<慢性腎臓病>

シニア期の猫が最もかかりやすい病気の一つです。

症状は多飲多尿、食欲不振、毛並みが悪くなる、痩せてくるなどで、この様な症状が見られた時には腎臓の機能の7割近くがダメージを受けている状況です。
そして、壊れてしまった腎臓の細胞は元通りに再生させることはできません。
治療は、内服薬の投薬や食餌療法、輸液療法などで、残った腎臓の機能をなるべく良い状態に維持することを目的として行います。

<甲状腺機能亢進症>

シニア期の猫に多い内分泌疾患です。
原因は、甲状腺過形成、甲状腺濾胞腺腫、甲状腺癌で、甲状腺の機能が亢進しすぎることで、異常に食欲が旺盛になり、その割には体重が減少していきます。

鳴き声が大きくなる、昼夜に関わらず良く鳴くなどの症状が見られたらこの病気を疑います。
診断は、触診や血液検査を行い、甲状腺ホルモンの値を確認します。
治療は、食事療法や甲状腺の働きを止める内服薬の投薬を行う内科療法か、甲状腺の摘出手術を行う外科療法を行います。

エキゾチックショートヘアの健康管理

エキゾチックショートヘアは愛情深くのんびりと落ち着いた性格で、他の猫種に比べると運動量はそれほど多くないため太りやすい傾向があります。
エキゾチックショートヘアに必要な健康管理について解説します。

適切な食生活

猫は肉食動物で、もともとは小動物を捕食していました。
しかし、飼われている猫は、飼い主に与えてもらった食べ物を食べて生活しています。

猫の身体に合った総合栄養食と新鮮なお水が中心の食事で、加工品のおやつや人間の食事は与えない様にすることが大切です。
なお、手作り食の場合は、リンとカルシウムのバランスや必要なビタミンの不足などが懸念されるので、動物栄養学を学んでから実践することをおすすめします。

運動の必要性

おっとりと大人しい個体が多いエキゾチックショートヘアですが、食事の管理と共にある程度の運動も必要です。
キャットタワーの設置やフードの置き場所を工夫するなど自然に運動ができるような環境を作ることやおもちゃを使って一緒に遊ぶなど、愛猫が少しでも身体を動かして生活できるように心がけましょう。

定期的な健康チェック

猫は、人間よりも早く歳を取ります。
健康的な生活を送るためには、定期的な健康チェックは必須です。最低でも年に1回は血液検査・尿検査などの健康診断を受けましょう。

エキゾチックショートヘアに多い疾病について

エキゾチックショートヘアは、ペルシャを起源とするためペルシャに多い遺伝性疾患などに注意が必要です。
また、鼻が低く、目と鼻と口の位置が近い短頭種のため、目の周りが汚れやすい傾向があります。

<多発性嚢胞腎>

多発性嚢胞腎とは、腎臓内に嚢胞が多数形成される遺伝性疾患です。
ペルシャ猫に多い遺伝性疾患で、両方の腎臓にできた嚢胞が、ゆっくりと数が増えて大きくなり、その結果正常な腎臓の細胞の組織が少なくなり、最終的には腎不全となり死に至ります。

<流涙症>

目の周りが常に涙で濡れ、目の周りの毛が茶色く変色する病気です。

涙の量が増える、もしくは涙がうまく鼻腔に排出できないことが原因で、具体的には鼻涙管の閉塞、逆さまつ毛、異物、アレルギー性結膜炎、角膜の傷などが考えられますが、エキゾチックショートヘアの場合は、顔の構造上目の周り汚れやすいことが主な原因だと考えられます。
治療は原因によって異なりますが、エキゾチックショートヘアの場合は目の周りをこまめに拭くことが大切です。

エキゾチックショートヘアの飼い方

エキゾチックショートヘアは、成猫だけでなく子猫でもおっとりと落ち着いている個体が多く、飼いやすい猫種です。
ただし、比較的被毛が長めの短毛種なので日々のブラッシングをしっかり行う必要があります。

また、愛情深く甘えん坊で飼い主さまの膝の上で寝る猫も少なくないと言われています。
猫とゆっくり向き合う時間を確保しコミュニケーションをとるように心がけると共に、肥満防止のために食事管理をしっかり行いましょう。

エキゾチックショートヘアが長生きする秘訣とは

前述の通り、エキゾチックショートヘアが元気で長生きするためには、適切な食生活、適度な運動や遊び、定期的な健康チェックが非常に大切です。

また、猫と日々生活している飼い主さまにしかできない「愛猫の異常に早く気づく」ことが、病気の早期発見と治療に繋がります。
以下の7つのポイントを意識して毎日愛猫の様子をチェックし、いつもと違うと思ったら早めに動物病院を受診しましょう。

ペット保険の選び方

ペットには、人間の様な公的な健康保険制度はありません。
そのため、動物病院での治療費の負担は全額自己負担です。

状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になる場合や、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。
何かあった時のための備えとしてペットのためにご自身で備えるという方法もありますが、突然のケガや病気など予想もしなかった事態に備えておくための選択肢の一つとして、ペット保険があります。

ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。 現在多くのペット保険会社がありますが、保険会社や契約プランにより、保険料や補償の内容等は異なります。

また、自分とペットにあった保険を選ぶには、情報を集めて比較検討をすることが大切です。
どんな補償内容が必要かは人によって異なりますが、ここではペット保険の選び方のポイントについてお伝えします。

ペット保険選びのポイント

ペット保険を選ぶポイントは以下の3つです。

<保険料>

一般的に、補償内容が多ければ多いほど、さらにペットの年齢に比例して保険料は高くなります。実際に支払う保険料は、月額500円~1万円くらいまでとかなり差があります。
どの補償内容が必要なのか検討し、保険料とのバランスを考えて決めましょう。

<補償内容>

補償内容は、手術のみ補償するプラン、通院も含め手術や入院も補償するプランなどいろいろなプランがあり、補償割合も30%~90%などがあります。
保険料とのバランスもありますが、「万が一の事態に備え高額になりがちなペットの治療費の負担を軽くし、さらに通院のハードルが下がる」という意味では通院と手術・入院を補償するプランがおすすめです。

<加入時の年齢>

ペット保険は、ペットの年齢が高ければ高いほど保険料が高くなるのが一般的です。
また、ある程度の年齢になると加入できないプランもあります。

反対に、シニア専用の保険やシニアになっても継続できるペット保険もあります。

猫の平均寿命は約15歳なので、シニアになっても使い続けられるペット保険をおすすめします。

また、保険会社によっては動物病院での支払い時に補償額を差し引いて窓口精算できる(対応可能動物病院のみ)ペット保険や、医療やしつけについて獣医師に24時間無料電話相談ができるサービスが付帯しているペット保険もあります。
初めて猫を飼う方には、この様な相談ができる付帯サービスがあるペット保険がおすすめです。

また、ペット保険は病気やケガのために備える目的のものなので、ワクチンや不妊・去勢手術、ノミ・マダニなどの予防に関するものや保険加入前に発症している病気や先天性疾患に関しては補償の対象外なので注意しましょう。

また、ペット保険の補償には限度額や限度日数・回数など制限があるので、保険料や補償内容・年齢などの加入条件と併せて確認しておくと安心です。

この記事の監修者

大熊真穂

大熊真穂

現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
▼ドリトルけいのいぬねこ健康相談室
https://www.dolittlekei.com/
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。

関連ページ

外耳炎はペット保険でカバーできるか?

取扱い保険会社・少額短期保険業者一覧