動物のSDGs「AWGs」って知ってる?
【アニマルドネーションに取材】
ペットと暮らしている方であれば「動物福祉」について一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、日本での認知度はかなり低く、動物福祉への取り組みが十分に行われていません。
今回はアニマル・ドネーションの活動の一つである「AWGs」に加え、日本のペットの現状や課題、私たちにできることについて代表理事の西平衣里さんにお話をお伺いしました。
公益社団法人アニマル・ドネーションは、人と動物が良きパートナーとして、共に幸せに暮らせる社会を作っていくために、動物福祉活動をがんばっている団体と、寄付を通じて団体を支援したい人をつなぐ、日本初の動物関連に限定したオンライン寄付サイト「アニドネ」を運営しています。
愛する動物のために自分も何かしたいと思う人が、その人にあったアクションができるように、関連団体、専門家、企業と広く連携しながら、日本の動物福祉を世界TOPレベルまで引き上げることを目指して活動しています。
アニドネは中間支援組織です。
「動物関連の団体に寄付をしたいけど、どこに寄付をしていいか分からない」という声もよく耳にします。寄付先を選べない方々のために、少しでも参考になるアドバイスができる相談役になりたいと考えました。
「キモチが込められた大切な寄付」だからこそ、寄付をしたいと思った時にすぐに寄付ができ、その寄付を確実に団体に届ける仕組み作りに取り組んでいます。
同時に、アニマル・ドネーションに寄付が振り込まれた翌月末には、各団体の方々にお届けするようにしています。安定した活動資金を早く届けることで、活動の幅が広がるからです。
AWGsは、動物目線に立ったSDGs 「 AWGs(Animal
Welfare Goals)」です。
プロジェクトを発足し、動物のライフサイクルに沿った課題を可視化し13のゴールを設定しました。
それらの課題の認知を促すとともに、解決に向けて考え・アクションすることを呼びかけています。
AWGsについてのセミナーやWeb上でのアンケート調査、署名運動の促進など、積極的に活動しています。
ペットにまつわる問題は、ペットと暮らしている人も知らないことが多いのも事実です。
SDGsが浸透してきたこともあり、地球や環境のためにいいことをしようと思っている人も増えてきました。
その機運に乗り、ペット関連の問題も、知っていただくことができたら、解決に向けて動く人も増えてくるだろうと考えました。
殺処分をゼロに
①「万が一の時にも愛犬・愛猫が幸せに暮らせる仕組みを(保護犬・猫の生涯飼育を確約する仕組みの普及を通じ、高齢者への譲渡を向上)」
高齢や急な病気などで、本当に飼うことが難しくなった場合の仕組みの整備を考えています。
現在は、高齢者への譲渡は難しいとする保護団体が多いのですが、保護犬・猫の生涯飼育を確約
する仕組みを作り、その普及を通じて、高齢者への譲渡を向上していきたいと考えています。
②「動物愛護センターで保護犬・保護猫と出会おう(動物愛護センターからの保護犬・猫の譲渡を向上)」
全国の動物愛護センターの情報をわかりやすくお伝えすることで、動物愛護センターからの保護犬・猫の譲渡を向上し、犬猫を迎えるのは、まず動物愛護センターに問い合わせることが当たり前の世の中を目指します。
③「遺されるかもしれない犬猫のために遺贈や信託の活用を(現在なし)」
遺贈を活用し飼い主が先立っても迷う犬猫がいない仕組み作りや、ペット信託を普及させることで、飼い主の死後も犬猫の生活を保障することを目指しています。
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「犬猫との暮らし。こんなはずじゃなかった…を無しに(ペットショップでの慎重な購入プロセス導入を通じ、衝動買いを減少)」というテーマを設定しています。
ペットショップで一目惚れして犬猫を衝動買いしてしまう人も多く、抱っこしてしまったからもう飼うしかなくなったなどの声を聞くこともあります。
AWGsでは、ペットショップでの慎重な購入プロセス導入を通じて、衝動買いを減少したいと考えています。
子犬や子猫のお世話の内容から病気などのリスクまで丁寧に伝えていくことで、本当に命を迎えていいのかを迎え入れる家族でしっかりと検討してからペットを飼うことを推奨します。
虐待死をゼロに
「アニマルポリスを全国に誕生させよう(知ってる?虐待を助ける「アニマルポリス」)」とテーマを設定しています。
元々、大阪府が「アニマルポリス #7122」として画期的な取り組みを開始しています。
動物虐待に気づいたり迷ったりした場合、この番号に電話をすれば A Iが的確に判断し担当部署に電話がつながる仕組みです。
ほとんどの自治体では導入がなく、通報してもたらい回しになってしまうケースもあるため、アニマルポリスの導入を推進したいです。
さらに新しく、「動物虐待とは?虐待のない社会を作る活動に参加しよう」というテーマを設け、虐待をなくす活動に広く参加してもらえるように促していく予定です。
感情のある命。迎える仕組みの変革を
①「新しいペットショップのカタチを作ろう」では、狭いガラス張りのケージなどでの生体の展示販売中止を実現させるため、ペットショップの新しい在り方を検討します。
例えばペットショップが優良ブリーダーとの出会いの場になることや、ペットにまつわる物販や病院、トリミングなど、ペットを飼ったら一生のお付き合いの場になることなど、ペットとの出会い・迎える仕組みの構造改革を検討しています。
②「保護ビジネスの裏側とは?正しく保護犬猫を迎えよう」では、近年多く誕生している保護ビジネスの見分け方を提示します。
保護犬猫と称し、販売ルートには乗せられない遺伝疾患のある犬猫や引退繁殖犬猫の譲渡活動が散見されます。
命を救うという点では保護活動かもしれませんが、かかるであろう医療費以外の項目が含まれていたり、空輸されトライアル期間がないといった動物福祉観点から懸念しています。
果たして、自分が迎えようとしている保護犬猫は、本当の意味での保護された命なのか、どう見分けるのがいいのかを解説していく予定です。
まずは、身近なところにある問題について知っていただきたいです。
今ペットと暮らしている人であれば、2頭目は動物愛護センターや保護団体から迎える選択肢を検討していただいたり、寄付付きの商品を選んでみたり。
保護団体が犬猫を保護する際に必要な物資を寄付するのもいいかもしれません。
もう少し踏み込む場合は、保護団体のボランティアをやってみるとたくさん発見もあるはずです。
SNS上で、AWGsのシェアをしていただくことも、世の中の認知を上げる一助となるのでぜひお願いしたいです!
AWGs自体は、その言葉が一人歩きしても犬猫との共生のシンボルになること、それぞれのゴールを深掘りして関心のあるテーマを見つけていただきたいなとも思っています。
AWGsがより多くの人に知っていただき、それを知った人のポジティブなアクションが当たり前になることが目標です。
AWGs公式サイト:https://www.animaldonation.org/awgs/
アニマルドネーション公式サイト:https://www.animaldonation.org/
株式会社エレメントでは、動物福祉活動を行う団体と、寄付を通じて団体を支援したい人をつなぐ「アニマル・ドネーション」を企業サポートとして応援しております。
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法人賛助会員様のご紹介 株式会社エレメント様新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅時間が増えたことなどによりペットの人気が高まる一方、ペットの現状や課題について知らない人が多い…こうした日本の現状をまず知ることが問題解決の第一歩となります。
エレメントでは、小さな命を守るために私たちができることについて発信していきます。
PROFILE
公益社団法人 アニマル・ドネーション
西平衣里さん
■代表理事