ポメラニアンは、愛らしく可憐な容姿で人気がある犬種です。そのルーツは北方スピッツの血を引くサモエドを祖先とする作業犬で、人懐っこく活発な性格で学習能力も高い犬種ですが、必要なしつけを行わないと特に「吠え」のトラブル等問題行動に繋がるケースがあります。
ポメラニアンは、活発で遊び好きな性格ですが、警戒心や縄張り意識が強い一面もあり、しつけには根気と根性が求められます。
ポイントは以下の4つ。
ポメラニアンは、学習能力が高く物覚えがよい犬種ですが、しつけが少々難しいとの声も多いです。警戒心や縄張り意識が強い一面があり、マーキング癖や吠え癖がつきやすい傾向があります。
警戒心が強いため、初対面の人や犬に対して、すぐに友好的になることはありません。無理に仲良くさせようとすると、逆効果になる可能性があるため、時間をかけてゆっくりと慣れさせましょう。また、ポメラニアンは、独立心が強いため、飼い主に過度に依存させないようにすることも大切です。
ポメラニアンは、飼い主に忠実で、愛情深い犬種です。根気よくしつけを行うことで、素直で優しい犬に育てることができます。
しつけの目的は、人間と犬がお互いにできるだけストレスなく、安心して一緒に生活することです。しつけの方法はいくつかありますが、犬のもともと持っている性質や性格を理解することが非常に大切です。
犬は、柴犬や秋田犬などのプリミティブドッグ(いわゆるその土地の土着犬など)を除き、体つきや得意なことに合わせて人の手により繁殖や品種改良を繰り返し、今の犬種が作られてきたという経緯があります。
ポメラニアンのルーツは、前述のとおり北方スピッツの血を引くサモエドで、そりを引いていた作業犬です。品種改良により現在の可憐なポメラニアンの姿となりましたが、そり犬だった活発さが根底に残っていると言われています。
ポメラニアンの性格は、好奇心旺盛で基本的にはフレンドリー、抱っこも大好きな甘えん坊の面も持ち合わせています。被毛はダブルコート(オーバーコート+保温・保湿の役割をするアンダーコート)で抜け毛が多い犬種ですが、フワフワした長くてボリュームのある被毛ながら、口周りや足先などの汚れやすい部分が短くて毎日のケアがしやすい犬です。ポメラニアンの美しい被毛を保つためには日々のブラッシングなどのお手入れが必要で、更に比較的運動量が必要な犬種です。
しつけは褒めて教えるのが基本で、叩く、蹴るなどの体罰は厳禁です。ポイントは上手くできたら褒めてご褒美を与えることを繰り返すことで、ご褒美はおやつやドッグフードなど食べ物というのが一般的です。
しかし、食べ物にあまり関心がない犬もいます。その場合は、食べ物以外にもおもちゃを与えることや優しく撫でること、「えらいね」と優しく声をかけるなど色々なパターンで犬のモチベーションを上げてしつけを行いましょう。
ポメラニアンに限らず、子犬の頃からの社会化トレーニングは非常に大切です。
社会化というのは、人間と生活するにあたり犬の周りに起こり得る色々な物事に慣れさせることを言います。社会化のコツは、怖い経験をたくさんさせるのではなく、お散歩中に車や自転車がそばを通っても怖がらずに歩けるようにするなど、小さなことをひとつずつ慣らしていきましょう。
また、身体を触る、口を開けるなど人間に身体を触れられることに慣れさせることも大切なしつけです。これは、動物病院やトリミングサロンなどで人に触られることに強い恐怖心やストレスをなるべく少なくするための第一歩となります。
ポメラニアンは、ブラッシングや定期的なお手入れが必要な犬種です。子犬の時期から身体に触れられることに慣れさせて、トリミングの度にストレスで体調が悪くなる、ということのないようにしましょう。
もう一つ、是非やっていただきたいことはデンタルケアです。犬が身体を触られることに慣れてきたら、口の周りや歯に触ることからスタートして、歯みがきなどのデンタルケアにチャレンジしてみましょう。
歯と歯茎の健康を維持し、元気で長生きするためにはご家庭でのケアが必須です。
しかし、成犬になっていきなり歯磨きしようとしても嫌がって出来ないことがほとんどなので、子犬の頃から少しずつ慣らしていくことが大切です。
しつけで最低限必要なものは、
の3つです。
しつけを全く行わなかった場合、家の中の好きな場所に排泄し、気になることがあると吠え続け、更に嫌なことがあると咬んだり暴れたり・・・、という犬に育ってしまう可能性があります。
さらに、しつけを行わないと飼い主による制御ができないため、犬の体調が悪くても動物病院に連れて行くことすらままならないという事態になり、これは命に関わる問題です。ご自身でしつけを行ってもどうしてもうまくいかない場合は、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
また、信頼できるトレーナーさんに指導してもらうのも良い方法です。その場合はトレーナーさんに愛犬を預けるのではなく、飼い主さまご自身が愛犬のしつけに参加して教えてもらう方法をおすすめします。
上記の基本のしつけにプラスして
というしつけを行いましょう。
クレートやサークルでお留守番が出来ると、不在時の誤飲やいたずらを防ぐことが可能です。
また、昨今は水害や地震など自然災害が非常に多く発生しており、避難を余儀なくされる可能性があります。愛犬がクレートやサークルに慣れていない場合、非常時には飼い主だけでなく愛犬のストレスも非常に大きなものになることが予想されます。
非常事態以外でも、動物病院やペットホテル、トリミングサロンなど愛犬がケージ内に入って待つという状況は考えられます。
飼い始めてすぐは、サークルやケージから出して欲しくて吠えてしまうこともありますが、要求吠えは無視して、犬があきらめて大人しく過ごせる様になるまで頑張ってみて下さい。
このしつけは、人と犬とのコミュニュケーションにもなります。教える方法は、おやつやドッグフードなどの食べ物を使う方法が一般的です。
「お座り」は、犬の鼻先におやつを持っていき、ゆっくりと上にあげると自然に座る姿勢になるので、「お座り」と言いながらうまくできたらご褒美を与えることを繰り返します。
「待て」は、同じようにおやつを犬の目の前に置き、待たせます。最初は短い時間からスタートし、うまく待てたら「ヨシ」の言葉と共にご褒美と褒めることを繰り返します。
「伏せ」は「お座り」ができるようになったらさらに低い姿勢になるようにおやつでコントロールし、同様にできたら褒めてご褒美を与えます。
コマンドに従うというしつけは、「犬が喜んで指示に従う」というしつけに繋がります。
他に、くわえたものを離す「放せ」や飼い主が呼んだらそばにくる「おいで」など色々なコマンドを覚えさせると、お互いが楽しいだけでなくとっさの時に役に立つので非常におすすめです。
ポメラニアンは高い学習能力があり、飼い主さんが大好きな犬種です。飼い主さんと一緒に遊ぶのが大好きなので、ドッグダンスを習うなど一緒に楽しめるのも、この犬種の特徴の一つです。ぜひ、遊びながら楽しく行う様々な体験に愛犬と共にチャレンジしてみて下さい。
ご自身も楽しい上に愛犬のしつけにもなるので、非常におすすめです。
ポメラニアンは、基本的には活発でフレンドリーな性格ですが、繊細で臆病な性格の犬、勝ち気な性格や神経質な性格の犬もいます。また、遊びが大好きで素直な性格でも、自由奔放に育てると後々大変なので、教えるべきことはしっかり教える必要があります。
ポメラニアンのしつけで特に注意すべきポイントは、
の2つです。
例えば、「ソファーの上に乗らない」「基本的にはサークルの中で過ごす」というルールを作ったとします。
ある時はソファーの上で寝ていても怒られなかったのに、ある時は「ダメ」と叱って下に降ろされる、いつもはサークル内で過ごしているのに、お客様がいる日は一日中サークルから出して遊べる、など飼い主側の都合でルールをコロコロ変えないことが大切です。
ルールが頻繁に変わることで犬が混乱するばかりか、自分の要求を通そうとして問題行動に繋がるため、決めたルールはご自身が守る様に心がけましょう。
ポメラニアンは、人懐っこく甘え上手な犬種で、抱っこや撫でられることが大好きです。それがエスカレートすると、大好きな飼い主と一緒にいたくて、お留守番の際にいたずらや吠え続けるなど依存心が強くなる可能性があります。
依存心が強い場合は、お留守番の練習をする、夜は一緒に寝ないようにするなど、一人の時間を落ち着いて過ごせる様に工夫しましょう。
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ポメラニアンに多い病気やケガは?ポメラニアンは、前肢の骨が非常に細いため簡単に骨折するケースが多く、膝蓋骨脱臼などの関節疾患も多くみられる犬種です。細い骨や関節の負担を少しでも減らすためには、肥満にならない様に食事やおやつの量を決めて、量って与えるなどの工夫が必要です。
また、ポメラニアンは被毛がフサフサなので体重が増えていることに気づかない場合もあります。定期的に体重測定をするなどしっかり体重管理を行いましょう。
「元気いっぱいで病気とは無縁だと思っていたのに、おもちゃを誤飲してしまった」「ソファーから飛び降りて骨折してしまった」など、元気な時でも愛犬が病気になったりケガをしたりする可能性は常にあります。
ペットには、人間の健康保険の様な公的な保証制度はありません。そのため、動物病院を受診した際に支払うペットの医療費は、すべて飼い主の自己負担です。状況によっては手術や長期間の通院、治療が必要になることも考えられ、それに伴いペットの医療費も高額になる可能性があります。
このような「予想もしなかった事態」に備える方法として、ペットのために日々ご自身で積み立てをしておく、という選択肢の他にペット保険に加入するという方法があります。
ペット保険とは、保険料をペット保険会社に支払うことで、飼い主が動物病院に支払う医療費の一部をペット保険会社が補償してくれるサービスです。
現在多くのペット保険会社がありますが、保険会社や契約プランにより、保険料や補償の内容等は異なります。
補償内容が多ければ多いほど、保険会社に支払う保険料は高くなるのが一般的なので、補償内容の重視するポイントや優先順位についてお伝えします。
ペット保険を選ぶにあたって優先順位が高いのは、
の2点だと思います。
保険料は最も安いものでは月に500円~、金額が多いプランでは1万円前後です。補償内容が多ければそれに伴って保険料も高くなるので、情報を集めて比較検討する必要があります。
また、保険会社や加入プランによって異なりますが、加入してから終身までずっと同じ保険料ではなく、保険料の見直しがあるのが一般的です。若い時は安い保険料でも更新の度に保険料が上昇するプランや、ある程度の年齢になったら保険料が一定になるプランなど色々なプランがあります。
なお、年齢が上がるにつれて保険料が高くなり加入条件が厳しくなるのが一般的で、プランによっては加入できなくなる場合もあります。最近ではシニア犬用(8歳~)のペット保険も増えていますので、将来のことも考えて情報を集めておくと安心ですね。
9歳以上の高齢でも入れるペット保険とは?
補償内容は保険会社やプランによって様々で、
などがあります。
補償内容を選ぶポイントとしては、例えばポメラニアンの場合、外耳炎や皮膚疾患が多い犬種なので何度も通院が必要になる場合も考慮すると同時に、前肢の骨折など手術が必要になるケースを考えて通院治療だけでなく手術の補償も網羅するプランを選ぶことをお勧めします。
なお、ペット保険は「病気やケガに備える」という目的のものなので、不妊去勢手術、ワクチン接種やフィラリア予防など予防に関するものや、保険加入以前にかかっていた病気やケガについては補償対象外です。
また、保険会社による補償は無制限ではなく上限(支払限度額または支払限度日数・回数)があります。補償内容をしっかり確認してご自身と愛犬にとって必要なプランを選ぶことが大切です。
この記事の監修者
現在複数の動物病院で臨床獣医師として勤務しながら専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信している。
▼ドリトルけいのいぬねこ健康相談室
https://www.dolittlekei.com/
ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」こと。